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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第十三章

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455 ブラックヴァイパー ⑦


「それじゃあ、早速行くとするか!」

「ん? いきなり行っても大丈夫なのか?」


 ポッチは自信満々にそう言うが、こういう時は先触れなどを出すのではないだろうか?


 俺はそう思ったのだが、それは杞憂(きゆう)に終わる。


「ああ、元々今日行く予定だったからな! 俺様の配下の実力者三人が、闇闘技場に出場する予定なんだぜ! その打ち合わせのために、午前中から会う必要があったんだ。だから気にしなくても大丈夫だぜ!」

「なるほど」


 どうやら、闇闘技場には最初から行く予定があったみたいだ。それなら、気にしなくても良さそうである。


 そうしたこともあり俺はポッチに連れられて、闇闘技場へと行くことになった。


 今回は大人数を連れて行くことはなく、俺とレフ、後はポッチと闇闘技場に参加する三人だけという感じだ。


 参加する三人は荒事部門の中でも実力者らしく、冒険者ランクにたとえるとCランクに届いているらしい。


 大多数の冒険者がDランクくらいで行き詰るので、実力だけとはいえCランクに届いているのは、実はすごいことなのである。


 ジンジフレ大陸で勇者陣営と戦った俺からしたら、Cランクは吐いて捨てるほど出会っているので、少々感覚が麻痺しているだけだ。


 そうしてポッチに案内されて、闇闘技場へと俺たちはやってきた。


 場所は一見、スラム街には似つかわしくない少し大きめの屋敷だが、肝心の闇闘技場は地下にあるらしい。


 出入り口でポッチは顔パスで通してもらうと、その奥にいた者がポッチの事を待っていたらしく、案内を申し出てくれた。


「ポッチ様いらっしゃいませ。吸精のヴィレッタ様がお待ちです」

「おう。案内してくれや」

「かしこまりました」


 ポッチはそれに頷いて、案内の男についていく。俺もそれに続いた。


「吸精のヴィレッタは強い男が好きだ。だからモブメッツさんも、気に入ってもらえるはずだぜ。

 それとたぶん握手を求められたときに、生魔ドレインという希少なスキルを少し発動してくるかもしれないが、我慢してくれ。それで色々と判断しているらしい」

「わかった」


 ふむ。吸精のヴィレッタとやらは、生魔ドレインを使えるのか。あれはマナドレインとエナジードレインの複合スキルのようなもので、高ランクモンスターが所持していることがある。


 俺の配下の中だと、ボーンドラゴンやゲシュタルトズンプフが所持しているスキルだ。


 だとすればこれから会う吸精のヴィレッタには、少し警戒をしておこう。


 そうしてとある一室の前までやってくると、案内の者が先にドアを叩く。


 ちなみにドアの横には屈強な男がそれぞれ配置されているが、微動だにしない。かなり訓練されていることが(うかが)える。


「ヴィレッタ様。ポッチ様とそのお連れの方たちを連れてまいりました」

「入りなさい」


 すると案内の者の声に反応して、部屋の中からそんな女性の声が聞こえてきた。


「どうぞお進みください」

「おう」


 そして案内の者がドアを開くと、自身は入らずに俺たちに入るように(うなが)す。


 ポッチは軽く返事をすると、部屋へと足を踏み入れた。俺たちもそれに続いて、部屋へと入っていく。


「ポッチ、よく来たわね」


 そう言ってポッチに声をかけたのは、部屋の中で高級そうなソファに座る人物だった。


 まず目につくのは、真っ赤なドレス。胸元が開いており、その豊かさが(うかが)える。


 次に目立つのは、その腰まで伸びた白髪だろう。手入れが行き届いているのか、サラサラな感じだ。


 また口元には赤い扇子(せんす)のようなものが広げられており、全体的に高貴な雰囲気が(かも)し出されている。


 そして最後にこちらを観察する眼光も鋭く、意志の強そうな赤い瞳が、俺たち一人ずつへと順番に向けられていた。


 この人物こそが、吸精のヴィレッタなのだろう。


 するとポッチはヴィレッタに対して、このように返事をした。


「相変わらずババア(・・・)のくせに、派手な格好だぜ!」

「ふんっ、ポッチこそ、その礼儀の知らない口調は変わらないわね」


 そう。ヴィレッタは高貴な雰囲気と美しさを持つが、実のところ老女なのである。

 

 白髪も年ゆえの色合いであり、よく見れば化粧で隠しているが、目元にはシワが見えていた。


 何よりも手の衰えの様子は隠しきれていないので、実年齢はかなり高そうである。少なくとも、六十代は越えているだろう。


 しかしそれでもスタイルを含めて、客観的にはとても容姿に優れている。かなりの美魔女だった。昔は本当に、美女だったのだろう。


 また二人はそんな言葉を言い合っているが、険悪な雰囲気はない。むしろ軽い挨拶という感じだ。


 おそらく、いつも似たようなやり取りをしているのだろう。


「それで、参加する三人はともかく、そこのパッとしないのは誰だい? 私に紹介しておくれよ」


 するとヴィレッタはそう言って、俺に視線を向けてくる。それに対して、ポッチが慣れた感じで紹介し始めた。


「おう。この方はモブメッツさんといって、一時的に俺様のところに加わってくれた人だ。

 何よりその実力は俺様以上で、昨日もゴブリオックの強者を二名倒している。そしてその横にいるのが、モブメッツさんの恋犬のフーレちゃんだ!」

「にゃわん!」

「それはすごいけど、あんたと同類かい……」


 ポッチの紹介に、ヴィレッタは俺に対して残念な視線を向けてくる。それは酷い勘違いなので、俺は即座に否定しておく。


「フーレは俺の大切な相棒だが、そんな性的な関係ではない。ポッチが勝手に言っているだけだ」

「そうかい。なら、少し安心したよ」

「ははっ、モブメッツさんは少し照れているだけだぜ! 俺様の同志に間違いねえ!」

「にゃわわんっ!」

「ポッチとレ、フーレは少し黙ってくれ……」


 そう言って否定したが、ポッチはそれを照れ隠しだと思ったようだ。またレフもなぜかそれに追従したので、俺はそのことにため息を吐く。


 だがそれを見ていたこともあってか、ヴィレッタはポッチの勘違いだと認めてくれたみたいだ。


「まあ私としては、どちらでも構わない。それで、そのモブメッツとやらを連れてきて、何をしたいんだい? 端的に言っておくれ」

「おう。モブメッツさんは、ボスに会いたいみたいなんだ。そのために幹部からの推薦が必要だから、ヴィレッタから推薦をもらいに来たわけだ。

 もちろん、無条件じゃねえぜ。今日ちょうど行われる目玉試合があるだろ? その試合に出るやつとモブメッツさんが戦って、二連勝したら推薦をくれよ」


 ポッチは事前にその内容を考えていたらしく、スラスラと口にした。


 ちなみに二連勝とは、たぶんその試合で戦う予定だった存在同士を戦わせずに、代わりにそれぞれを俺と連続で戦わせるということだろう。


「なるほど。面白そうね。私は強い男が好きだし、分かりやすくて闇闘技場としても盛り上がりそうだわ。

 けど本当にいいのかしら? そこのモブメッツとやらがポッチよりも強くても、二連勝は難しいでしょう。なにより、死ぬかもしれないわよ?」


 ヴィレッタはそう言うと、その赤く鋭い瞳を向けてくる。その視線を受けて、俺は死ぬ可能性への覚悟を問われているような気がした。


 当然俺としても、その戦いに(のぞ)むのは構わない。むしろ楽しそうだ。


 故に俺はヴィレッタを見つめ返して、こう口にした。


「構わない。俺も強い相手と戦うのは本望だ。連戦でも、余裕で二勝を上げてみせよう」

「ふふ、言うじゃない。そういう強気な男も嫌いじゃないわ。いいでしょう。二連勝できたら、ブラックヴァイパー闘技部門の幹部である、この吸魔のヴィレッタが推薦してあげる。期待しているわ」


 そう言ってヴィレッタが俺に近づいてくると、手を差し出す。おそらくポッチの言っていた、生魔ドレインを兼ねた握手だろう。


 おそらく素の状態だと上手くドレインされない可能性があるので、ドレインされたら逆にこちらからも送ってみるか。


 俺はそう思いながら、ヴィレッタと握手した。すると事前に言われていた通り、何かが極僅かに吸われる感覚がした。なのでこちらからも吸いやすいように、それを送ってみる。


 しかしその結果として、思わぬ出来事が起きてしまった。


「ひぃいいんっ!?」


 なんとヴィレッタがそう叫び声を上げたかと思えば、膝から崩れ落ちてしまったのである。更にその表情は恍惚(こうこつ)としており、軽く意識が飛んでいるみたいだった。


 これは間違いなく、やってしまったかもしれない。


 あまりの出来事に、一瞬だけ部屋には静寂(せいじゃく)が走る。


 そして俺は何となく、これまでの転移者たちの言動をなぜか思い出していた。故に、思わずこう口にしてしまう。


「もしかして俺、なにかやっちゃいました?」


 その言葉と同時に、部屋の背景と化していたボディガード二人が動き出し、また部屋の外に待機していた者たちが勢いよく入り込んで来るのであった。


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