無恥
安紀は、何も言わず、恵里菜にキスをして、口を離さない。恵里菜は、やめて!と言うこともできない。そのまま安紀は、恵里菜の口を手で覆って、静かに、と長い指を唇に当てる。「昔、僕にも飲ませてくれたの覚えてる?」と言って、今度も、同じようにする。恵里菜は、じたばたするが、とても動けない。
恵里菜の母親は、トイレにしては遅い、と思って見に行くと、隣の部屋から、がたがたと、音が聞こえるので、まさか!と思って、ドアを開けると、あの男が、馬乗りになって、娘を思うままにしている。「きゃあ!」と思わず言うと、康人が、「おばあちゃん、どうしたの?」と近づいてくる。「来ちゃだめ!」と叫ぶのも間に合わず、康人も、遥菜も、安紀の母親も、そして、直も、その光景を見てしまった。
安紀は、一切やめようとしない。荒れた息で、一心に、恵里菜を触っていたが、康人が、「パパ、何してるの?」と、聞くと、「真似しちゃだめだよ。」と言って、注意する。が、自分はやめない。恵里菜の母親が、直を安紀の母親に抱かせて、安紀を引き離すために乗り込む。安紀は、母親を突き飛ばすが、母親も何度も向かうので、さすがに安紀も諦めて、上半身裸で、部屋を出ていく。コップに水を入れて、少し飲む。
恵里菜は、仰向けのまま、目を天井にさまよわせ、「ママ、帰りたい。」と言って泣いている。康人は、「ごめんなさい!」と泣き出した。
お母さんに寄りかかって、進む恵里菜に、安紀は、言った。「石川さん、またね。」
恵里菜は、ふらふらしながら、しかし安紀を睨んだ。




