EP.005
マリアンヌは幼い頃に知り合った友人だった。
両親が亡くなってから連絡が取れなくなっていた人物の一人であり、疎遠になっていたけれど。
何度か私から手紙を送ったこともある。
けれど返事がなく、きっと、こんなことになってしまった私とは関わるなと、両親や周囲からから言われているのだろうと思っていた。
「ねぇ、会えたって……どういうこと?」
私が戸惑いながら尋ねると、少し息を弾ませながら答えてくれる彼女。
「それはもちろんずっと探してたから…なんだけど。あ、待って。話したいことは沢山あるんだけど、ここだと目立ってしまうから…。えっと、あっちの別室に移動しない?」
「え……いや、でも、義両親が」
言い淀む私を尻目に、どこか落ち着かない様子で周りを見渡すマリアンヌ。
幼い頃、というか五年前までは、一番仲のいい友人だった。──今も、本当はそうでありたいと思っている。
けれど、あの日から周りが一変してしまった私にとって、誰を信じて、どう振る舞えばいいのか。
何もわからなかった。
「ロゼリア!そんなところで何してるんだ!早くこっちに来い!」
思っていたよりも目立ってしまっていたのだろう。
私が”外の人間"と話していることに苛立ちを隠せない義父の怒号が後ろから聞こえ、思わず肩がすくんだその時だった。
「伯爵、人前で妹に大声をあげるのはおやめください」
昔から変わらない、頼もしい凛とした声が割って入る。
「……お兄様?」
振り返ったそこには、見間違えるはずがない兄が立っていた。
「アーサー…お前、私に向かって"伯爵"とはどういうことだ?私は公爵だぞ!第一、お前は───」
義父が語尾を荒げ、兄に気を取られている隙をつくように。
「ロゼリア、今のうちに行こっ」
マリアンヌが私の腕を引き、抵抗する間もなく私は彼女に導かれて走り出し、彼女専用の休憩室だという個室へと身を移したのだった。




