EP.004
───パーティー当日。
義父とは、あの日母屋で顔を合わせてから一度も会っていない。
本心としては、私をパーティーに参加させたくなかったのだろう。
私についていた侍女はすべて解雇されてしまっている。
そのため、唯一所持していた母のお下がりのドレスを自分で手直しし、簡単に化粧を施して髪型を整えた。
そして、当然のように義両親とは別の、年季の入ったボロ馬車に揺られながら、私は王城へと向かった。
第二王子の誕生パーティー、もとい、婚約者探しを兼ねたパーティーといえど、エスコートを伴わず一人で入場する令嬢なんているはずもなかった。
ましてや、五年の間ずっと表舞台に出てなかった私だ。
門番に招待状を差し出した瞬間から、好奇の目が集まっていることを感じた。ひそひそと囁かれる噂話に聞こえないふりをして、足早に壁際に向かう。
(…わかってはいたけど、すごい視線を感じる。
まぁ、五年も家に閉じこもっていた女が、急に、パーティーに、しかも第二王子の婚約者を探すパーティに出てきたら、噂話の一つもしたくなるわよね…)
無理やり連れてこられた居心地の悪いパーティー。
息苦しさをごまかすように、手直ししたドレスの裾をぎゅっと握る。
やはり無理かもしれない、来るべきではなかったのかもしれない──家に戻ってから怒られることを覚悟し、義両親には何も言わず、今すぐにこの場を立ち去ろうかと思ったその時だった。
「……ロゼリア?」
背後から、少し高めの、聞き覚えのある声が私の名前を呼んだ。
「え…?」
私が聞き返すのと同時に、弾む声が重なる。
「やっぱり…!ロゼリアだよね?良かった、会えた…!私のことわかる?ルシアー二侯爵家のマリアンヌだよ!」
振り向いたそこには、あの頃と変わらない快活で優しい笑顔の彼女がいたのだった。
「…マリアンヌ!?」
友人、マリアンヌです。
あの日のお茶会とは別のタイミングで出会った、ロゼリアの親友になります(,,ᴗ ͜ ᴗ,,)




