EP.016
改めて座り直し、私とマリアンヌの向かいに、レオナルド殿下とお兄様が腰を下ろした。
「…とりあえず、今後のことだけど」
レオナルド殿下が口を開く。
「まずは、昨日も話した通り、落ち着くまで城で過ごしてほしいんだ」
「義父母には私から話している。…だいぶ、というかものすごく怒ってはたがな」
お兄様が、呆れたようなにため息まじりに続ける。
「それも踏まえて、まずは城にいてほしい」
「ここにいれば、誰かしらロゼリアのことを守れるからな」
「家のことは、一応ある程度うまく引き取れる算段がついている。ただ、少し証拠が足りないんだ」
「言い方は悪いが、ロゼリアが城に居てくれると、その証拠も集めやすぐ動きやすい。…ただ、ロゼリアが嫌だったら、他の方法も考える。だからまずは、ロゼリアの今の気持ちを聞かせてほしい」
告げれられる言葉と集まる視線。
正直に言えば、まだ整理がついたとは言い切れない。
アンと再開し、マリアンヌとも二人で泣いてお互いの気持ちを打ち明け、少し胸の奥が軽くなったことは確かだ。
でも、私がここにいていいのか。迷惑をかけるだけではないのか、そんな気持ちも拭いきれないところもあった。
(…でも、もう、決めるしかないのよね)
小さく、ほんの小さく胸の奥で何かが動いた気がした。
(きっと、大丈夫。大丈夫よ。)
あの頃を考えれば、これ以上辛いことはない。
全てが急展開で、まだ追いついていないところもあるけれど。
まずは、みんなを信じて…
少しずつ前に進みたいと、そう思った。
「…わかりました」
小さく息を吸い、しっかりと音に乗せる。
「ここで…お世話になります」
みんなの息をのむ音がした。
「…ありがと」
レオナルド殿下が、ほっとしたように笑った。
とても久しぶりに、あの優しい笑顔が向けられていた。
「じゃあ、早速部屋に案内する。今日は、俺が、案内する。いいだろ?」
「…はぁ。どうせ聞かないじゃないですか」
お兄様が、また始まった…と言わんばかりに額を抑える。
「昨日も散々小言を言ってきて…。絶対に、なにもしないと約束してくださいよ」
「当たり前だろうが!」
そのやり取りに、自然と笑みがこぼれたのだった。




