EP.015
ひとしきり泣き切って、お互いの顔を見合わせると、思わず二人で吹き出した。
「お互い、考え過ぎてたのね」
「ほんと、もっと…私、強引に公爵家に突入でもすればよかった」
マリアンヌの、いつもと変わらない元気な返しに、胸の奥がじんわりと温かくなった気がした。
「…私、もう元通りには戻れないかと思った。
…どうやって話していいかもわからなかったし」
「私も。でもね、たくさん話したいことも、やりたいこともまだまだあるから、だから…また、仲良くしてくれる?」
照れ臭そうに笑うマリアンヌ。
「もちろん。…私こそ、だって私、マリアンヌしか友達いないもの」
私のその言葉に、少し驚いたように目を見開いて笑うマリアンヌ。
二人で顔を合わせて笑い合うのは、まるであの頃が戻ってきたようだった。
「…なんか、改めていうとちょっと恥ずかしいね?」
「たしかに、なんだかくすぐったいかも」
そこからは、今までの五年の間を埋めるように、お互いの話を沢山した。
…とはいっても、私は聞き役に回ることがほとんどだったが。
(私には、大して面白い話がなくて申し訳ないわ…)
マリアンヌは、そんな私の気持ちを見透かしたかのように、気にしなくていい、辛いことは思い出してほしくないから無理やり話さなくていい、と言ってくれた。
その言葉に、胸が軽くなったのは秘密にしておこうと思う。
どのぐらいの時間が経っていたのか。
思っていたよりも時間が経っていたのだろう。
部屋がノックされ、扉が開いた時には、レオナルド殿下、お兄様、アン、それから、アルバートの姿があった。
「お、なんかこの感じ懐かしいな!俺とレオンが戻ってきたら、マリアンヌとロゼリアが二人でお茶してるみたいな!」
「お前、デリカシーをどっかに捨ててきたのか?」
「え?」
「あら、レオナルド殿下。アルバートはいっつもそんなかんじですよ」
アルバートがくだらないやり取り、それに突っ込むレオナルド殿下と、呆れるマリアンヌにお兄様。
そして笑いながら黙々と仕事をこなすアン。
懐かしいこの光景に、昨日の夜よりも、少し軽い気持ちで笑うことができたのは、気のせいではないだろう。
少しだけ、前に向かう勇気を持てたような気がした。




