episode33
「おはようございます」
「凛ちゃんおはよー!」
次の日、研究室に足を運んだ。薫さんはいたけど、宮野くんの姿はなかった。
「薫さん?」
「どうしたー?」
「宮野くんは.....」
「あの子、今日は午後からだから。さては、早く会いたいのか〜い!?」
「そんなんじゃないですって!」
軽くからわれた。
私は自分の席に荷物を置いた。
「薫さん、これ」
「あ〜ありがとうねぇ!」
薫さんに昨日の課題を渡した。薫さんの研究発表が近づいてきている。そこで私も、講演させてもらうことになっている。今はそれの準備で忙しい。
「薫さん、ここのプレゼンって......」
「あーここはね———」
「はぁー!!疲れた」
「流石に疲れましたね」
「全然休憩していいからね〜!」
「ちょくちょくしてます」
午後1時、本来なら宮野くんが来る時間。
薫さんは黙々と作業をしている。私ももう一踏ん張り頑張るか。
ガチャン!
「すみません!!遅れました!!!」
すると、宮野くんが猛スピードで研究室に入ってきた。
「ギリギリセーフなんじゃなーい?どう凛ちゃん?」
「まぁ、セーフ?ですかね」
「次から気をつけます.....」
宮野くんは息を吐きながら隣に座った。キャスター付きの椅子に背中を思い切り預けて、天井を見ていた。
「お手洗い行ってきまーす」
「いってらっしゃい」
薫さんはトイレに行った。この隙を狙った。
「宮野くん」
「なんですか?」
「今日この後、時間ある?」
「.....あります」
「話したいこと、あるから」
「分かりました」
胸が苦しい。ぎゅっと締め付けられて、今にも飛び出しそう。
「あ、そういえば知ってました?この研究した人って、ほかにこの研究もしてて———」
それからはいつも通り、研究所仲間として接した。
「お疲れ様ー!2人とも今日は夜遅くまでありがとう!」
時刻は20時を超えていた。
「じゃあ、俺たち帰ります!」
「2人で一緒に帰るの?」
「そうなんすよ」
薫さんがからかってきた。私はそんなじゃないと言い張って、研究室を出た。
「お疲れ様でーす!」
後ろから宮野くんの声がした。
「今日は疲れましたねー」
「そうだね」
2人で並んで廊下を歩いた。もちろん誰もいなくて、とっても静かだった。
「発表もうすぐだね」
「そうですね。でも準備万端じゃないですか?」
「そうだね」
また、静かになった。
「宮野くん、私ね…….」
「うん」
「宮野くんのこと、恋愛的に、好きには、なれない」
「.......」
「ごめんなさい」
私はその場で頭を下げた。
その瞬間からか分からないけど、雨が降る音がした。
「やっぱり、あの人が好き?」
私は頷いた。
「俺は、凛さんと会うたびに、もっと見てほしいと思った。もっと話したいと思った。気持ちに、気づいて欲しかった」
「……..」
「でも、これからは、仲間として、接していきたい」
「うん」
宮野くんは駅まで送るよと言ったが、私は大丈夫と言った。
「また明日ね」
私はそう言ってその場から逃げるように離れた。




