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05-やっぱりこれが好き!

 二人に慰められながら話を聞いたところによるとこの世界には装飾的なものが極端にないことが解った。他の地区に行っても大した差はないらしい。

 長い戦争に必要なのは力とお金だったから仕方ない……だけど、納得できるけどできないよ!

 これからずっとかわいいものとは無縁で生きていくしかないのかしら……元の世界に戻りたい。家族や友人はもちろん、ステキな作品が溢れていたあの世界へ。夏休みになったらフリマに出てみようかとか将来は自分のお店を持ちたいななんて思っていた夢は全部消えちゃったんだ。実用主義で色気も飾り気もないアイテムしかないここで……ずっと、生きていくのね……

 もちろんナチュラルテイストでかわいい雑貨もたくさんあった。でもこの世界のものはテイストじゃない、本物のナチュラルで。素朴なかわいさも好きだけど私が一番好きなのはピンク色の乙女かわいいものなのよう!!

 なんとか泣き止んだけど落ち込んでいる私を二人はそっとしておいてくれた。

「やっぱり元の世界に戻りたいんだろうね……」

「さっきまで元気だったけど空元気だったんだね……」

 今日はゆっくり休んでと二階の寝室へ案内された。


 大人しく二階へ行くと市場に行っている間に干してくれていた布団はふかふかで余計に哀しさが募る。こんな時、日本にいたならハンドメイドで何かしらを作って気持ちをあげることができたけど今は……薄暗い部屋の中を見回してもハンドメイドに使えそうなものは見当たらない。

 手持無沙汰ってこーゆーことなのね……じっと手を見てみる。道具も資材もなくて、この手から何も産みだせない。暗くなる気持ちを引き上げようと100均スキルを使ってチョコレートを買ってみた。疲れた時には甘いものだよね。体は疲れてないけど精神的に疲れてるのよ。夜の甘いものは太るってゆーけど今日だけ、ね。

 口の中で溶けるチョコを感じながらスキルウィンドウを眺めてみる。バイトも100均で雇ってもらってた。おかげで店頭に出す前に予約できたものとかあったなぁ。確かもうすぐ新作の布が入ってくるはずだったんだ。このスキルでも買えるのかな?

 あ、あった。この生成り生地の、大柄なチェックいいなぁ。アイリのパン屋の制服に合わせたらかわいいかも。模様の色も茶色だからこの世界でも合いそう。そんなことを考え始めたら作りたくて仕方が無くなってきた。洋服やエプロンを作るほど大きな生地でもないから……そうだ!シュシュにしよう!

 さっそく道具を見てみる。ハサミと糸と針、そして髪ゴム。手縫いでもできるからありがたい。うーん、ちょっと手元が暗いから……ランプってあったけ。懐中電灯でもいいかな。幸いにしてルームライトがあったのでこれも追加っと。電池も忘れずに。会計を済ませると手の中に現れたそれらを並べる。テンションがあがってきたよ!

 布を切って眺めの筒状に縫い上げる。ゴムを通して結んで筒の端っこ同士を縫い付けたら……できあがりー!!

 一番シンプルな形だけどかわいいよね。できあがったばかりのシュシュを手首に通して眺めてみる。ふふ。日本でよく作ったシュシュはレースをつけたりビーズを巻き付けたりしたなぁ。思い出し始めたら作りたくなってどうにもならない。次々と追加の買い物をしてはバージョン違いのシュシュを作り上げていった。アイリ、使ってくれるかな。喜んでくれるといいなー。

 夢中になっていたらノックの音が聞こえた。立ち上がってドアを開けるとアイリがいる。

「大丈夫?眠れないの?」

 心配してきてくれたんだ……良い子だなぁ。もう寝るから大丈夫と笑顔で返したらまだ少し心配そうな顔をしていたけどおやすみなさいと挨拶をして自分の部屋へ向かって行った。

 正直にシュシュを作ってたって言っても良かったけど暗い廊下で見せるより明るいところで見て欲しいもんね。

 私は道具と残った材料、出来上がったシュシュをベッドサイドの棚に置いて寝ることにした。明日が楽しみだ。

短くなっちゃったけどキリのいいところで。ようやくスキルがお役立ちに!

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