ただ淡々と
さて、どうしょうか
戦力と期待していた奴は、逃げてしまった
かといって徐晃が率いている官軍もまだ来ないだろう
…となると
「俺がなんとかするしかないか」
「な、なんなんだ、お前は!!」
黄巾賊の一人が怒鳴ってくる
腰は引けているくせに声だけはデカイ奴だ
「俺か?俺はお前らの敵だ」
「は?てめえ、一人で勝てると思っているのか!
こっちはまだ四百人いるんだぞ」
「あぁ、確かに四百人いたなぁ
さっきまではな」
「何だと!」
「気づいていないのか
もう、五十人は死んでるぞ」
それを聞いて周りを見渡す黄巾賊
「ひっ」
「嘘だろ…」
ようやく気づいたものは、後頭部に剣が深く刺さった死体と真っ二つにされた死体だ
もちろん、ヤったのは俺だ
「おら、どうした
今さら怖じ気づいたのか
…といってももう遅いけどなっ!」
そう言っている間に逃げようとした奴の後頭部に剣を投げつけ、また一人数を減らした
これで手持ちの武器は斬馬刀一本だ
「一人たりとも逃がさねぇから覚悟しろ」
さてこれで逃げ出すやつはかなり減るだろう
これで一斉に逃げられると、俺だけでは全員仕留めることができないからこの周辺の治安は悪いままだ
そうなると文との合流が遅くなる
だから、ここでこいつらを挑発して俺に目を向けさせる
「来ないなら、こっちから行くぞ」
地を蹴ってさっきまでうるさかった奴に斬馬刀を降り下ろし左右に真っ二つにする
ついで近くにいた奴等を凪ぎ払う
同じようなことを淡々とこなす
敵の戦意がなくなるまでな
「何しているんだ、弓、石を奴に喰らわせるんだ
早くしろ、味方に当たってもいい」
その発言の後、頭上からそれらが降ってくる
近くにいた奴に斬馬刀を突き刺し天に掲げる
「ぎゃあ」
「本当に射ってきやがった」
近くで無傷なのは俺だけになる
「なんだ、俺の手間を省いてくれたのか
ありがたいな
これはお礼をしなければならないな」
そう言いつつ俺は射った奴等の方に歩を進める
散発的にまだ石や矢が飛んでくるが斬馬刀で防ぐ
「ひぃ」
「く、来るなぁ」
悲鳴があがるが気にしない
「なぁに、お礼は苦しまずに皆殺しっていう特別だ
気にせず受けとれよ」