レベル1命の女神の聖域
魔王を追い詰めたのは、類まれなる才能を持つ17歳の勇者アキラと、賢者リリーメルだった。
二人はこの戦いが終わったら結婚することを誓い合っていた仲だ。しかし、魔王は最期のあがきとしてリリーメルに昏睡の呪いを放ち、彼女は深い眠りに落ちてしまう。このままでは、衰弱死を待つばかりだった。
愛する人を救うため、アキラは『命の女神』が住まうとされる聖域へと向かった。
魔物の侵略を阻むための防衛システムである機械天使たちの猛攻を一人で薙ぎ払い、瀕死の重傷を負いながらも、アキラはついに命の女神の元へと辿り着く。
アキラの悲痛な事情を聞いた命の女神は、まずは彼の傷を優しく癒してくれた。しかし、リリーメルの呪いを解く方法について尋ねると、女神はなぜか頬を染め、もじもじと恥ずかしそうに口を開いた。
「そ、その呪いを解くには……えっと、ゆ、勇者殿の『男としての……アレ』が必要なのです」
「アレ? アレってなんだ? 俺にできることなら何でもする! だから教えてくれ!」
「だ、だから、その……勇者殿の『男のすべて』が必要なのですよ」
「だから、何だってんだよ! はっきり言ってくれなきゃ分かんねぇよ!」
「だーかーらー! あんたの『男としての肉体』を丸ごと抜き取って彼女に移植するんだよ! つまり女の子になれって言ってんの! 女神にこんな恥ずかしいこと言わすなーッ!」
ドゴォォォォンッ!!
照れ隠しからか、逆ギレ気味に放たれた女神の強烈なアッパーがアキラの顎にモロにクリーンヒットし、勇者の体は数メートル後方へと吹っ飛んだ。
「……こほん。つまり、そういうことです」
「いやいや、待て待て! 呪いを解くのにって言っても、そんなことしたら俺の体はどうなっちまうんだよ!?」
「ご心配には及びません。私は命の女神。ちゃんと『女性』として生きていけるよう、お身体を完璧に再構築いたしますから」
「ぐぬぬぬ……ッ」
こうして、究極の二者択一を迫られたアキラの犠牲(?)により、リリーメルは無事に息を吹き返したのだった。




