運動部のノリは永遠に理解できそうにない。
謎の長髪イケメンと別れたあと……
オレは帰宅するべく正門に向かっていた。
こんなおかしな学校とは速攻でおさらばするに限る!
が、そのときだった!
ドガン!!!!!
「がふっ!?」
顔面に強烈な衝撃を感じて、オレは盛大に吹っ飛んだ。
な、なにが起こったんだ!?
「すんませーん! 大丈夫っすかー!?」
どうにか体を起こすと、サッカー部のユニフォームを着た男子生徒がこちらに駆け寄ってきた。
あまり背は高くない。というかチビだ。童顔で、いかにもサッカー少年といった風貌だ。大きく澄んだ目をしていて、まるで子猫か子犬みたいだ。
「すんませーん、先輩! オレの蹴ったボールが当たっちゃったみたいで……」
見ると確かに近くにボールが転がっていた。
「お、おおう……が、顔面がボールとすげ変わるかと思ったぜ……アンパンマンの気持ちがちょっとわかった気がする……」
ボールによる一撃で脳を揺さぶられたのか、ついわけのわからんことを口にするオレ。
「は? 先輩、ダイジョブっすか?」
「……なんでもない。一応、大丈夫みたい」
そう言って、オレは立ち上がってそそくさとその場を立ち去ろうとした。
これ以上イケメンに絡まれてたまるか。オレは女の子とラブコメがしたいんだ!
が––
「待ったー! 先輩、念のため保健室に行った方がいいっすよ! さっきもアンパンマンがどうとかわけわかんないこと言ってたし、もしかしたら脳みそに異常があるのかも……」
「だ、大丈夫だって! もう治ったから!」
「いーや、そうはいかないっす。オレがケガさせたんだから、ちゃんと保健室まで連れていきますよ! ほら、肩貸してください! 遠慮しないでください!」
「い、いいってば! 恥ずかしいだろ!」
「男同士なんだから恥ずかしくなんてないっすよ! ほら、いっちに、いっちに!」
いやめっちゃ恥ずかしいからコレ!
運動部のノリを全人類にまで持ち込むのやめてくれないかな!?
「いっちに、いっちに! あ、そうそう、オレ、赤坂ヨウっていいます。先輩の名前教えてもらっていいっすか?」
「つ、月島ルイト……」
「じゃ、ルイト先輩っすね! よろしくっす、ルイト先輩!」
無邪気に笑うヨウ。
運動部の人間ってみんなこうなんだろうか?
引きこもり気質のオレにはまったく理解できん……。
「いっちに、いっちに。あー、なんか楽しくなってきたっすね、ルイト先輩!」
「……………」
いや、違うわ。
たぶん、こいつが変わり者なだけだ……。
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