美少女と学園祭デート!……ではありません。
午後一時。
校舎の片隅にある演劇部の衣装部屋に、一人の少女が立っていた。
整った顔立ちに、大きな瞳。線の細い華奢な身体は、抱きしめたら壊れてしまいそうなほど儚げに見える。
上品なデザインの白桜高校の女子制服に見を包んだその姿は、まさに千年に一度の美少女……。
「なんでこんなに似合ってんだよ……!」
演劇部の鏡で自分の姿を確認しながら、嘆くように呟くオレ。
あのあと、ホノカと会うために女装しなければいけなくなったオレは、キリヤに頼んで芝居用の制服を貸してもらうことにした。
ホノカ相手では、中途半端な変装では見破られてしまう気がしたからだ。
万が一のためにカツラは持ってきていたものの、まさかもう使うハメになるとは思わなかった……。
「また会えて嬉しいわ、ルイ」
「こ、こんにちは、ホノカさん……」
待ち合わせ場所の正門に行くとすでにホノカが立っていた。
相変わらず、高校生とは思えない派手なファッションをしている。たぶん全部高級ブランド物だろう。
……似合っているからまたすごい。
校内を案内して欲しいとホノカが言うので、二人で適当に歩いた。
「おい、アレ、モデルのHONOKAじゃねえ?」
「ホントだ! HONOKAだ!」
「すげー! 本物だ!」
さすがはカリスマモデル。歩いているだけで目立つ。
と思ったら――
「隣にいる子、誰だろ?」
「超かわいい!」
「ウチの制服来てるけど、何年生かな?」
厄介なことにオレの方も目立ってしまったようだ。
ホノカが言う。
「みんなあなたのこと知らないみたいだけど、ここの生徒じゃないの?」
「て、転校してきたばかりなんです、私……」
「ふ〜ん」
あ、危ねぇ……。
あんまり刺激しないようにしないとな……。
「ヒソヒソ……ねえ、HONOKAより隣の子の方が可愛くない?」
「確かに! HONOKAはちょっと派手すぎだもんね!」
「隣の女のコの方が人気出そう!」
や、やめろぉぉぉぉぉ!!
聞こえよがしにホノカを徴発するようなこと言うんじゃねえ!
ホノカがニッコリオレに笑いかける。
……こめかみに血管を浮かべながら、
「さすが、ハヤトの彼女は人気を取るのもうまいわねぇ」
「……………」
誰か助けてくれ、マジで……。




