一汁三彩
「また来たのか!懲りねぇ奴らだ!」
市場の一角、野菜などを売っている屋台で店主は少年に怒鳴りつける
「ちがうよ!今日はちゃんと買いに来たんだよ!」
少年は袋から1枚の銀貨を取り出すと店主に見せつける
「あん?」
「ちゃんとお金は払うんだから、もんくないでしょ!」
「ちょっと良く見せてみろ!」
店主は少年から袋を奪い取ると中身を確認しだした
「あっ!返せよ!」
少年は店主に掴みかかるが体格差で微動だにしない
「うるせぇ!」
振り抜いた腕が少年を路肩へとはじき飛ばす
「お前みてぇなコソ泥がこんな大金持ってるわけがねぇ!どっかで盗んできたんだろうが!」
「そんなことしない!」
「そうやっていつも嘘ばっかつきやがる。これは俺が憲兵に届けておいてやるからさっさと帰りな!泥棒にやる食い物はねぇ!」
ニヤニヤと顔を歪めながら、店主の男は少年を追い出した
「失礼、取り込み中でしたかな?」
訪れたのは1人の老人。整った身なりからそれなりの人間だと推測できる
「おや、見ない顔だね?いらっしゃい。なに、隙あらば持ち逃げしようとする盗人のガキがいたんで追い払った所さ。気にしないでくれ。で、なにか買い物かい?」
「あぁ、いくつか根菜が欲しくてね」
「それならこれとこれがオススメさ。こっちは焼くか汁物、そっちは生が美味しいよ」
「では、それらを」
「この量で小銀2枚だ」
「ふむ、では丸ごと頂こう」
「へ?」
「貴様が奪った物、きっちりと返して頂く」
翌日、同じ場所には別の屋台が入っていたという
「それでお金、全部取られちゃったんだ」
「そうか、それは残念だ。で怪我はないかい?」
「これくらいならいつも貰ってるから大丈夫」
「我慢は良くないさ」
優希はパチンと指を鳴らし回復魔法で怪我を治す
「あれ…痛くない」
「その店には後で行っておくから大丈夫だよ」
「失礼、食材をお持ちしました」
サンディがひと袋の野菜を持ってきた
「そこに置いておいて」
「それでは私はこれで」
「うん、ありがと」
サンディはすぐに帰っていった
「えっ?今の人は?」
「うちの使用人だよ。あらかじめ連絡を入れておいたんだ」
「兄ちゃんってもしかして偉い人なの?」
「いや、大したことはないよ。冒険者としてそれなりの結果を出しただけさ」
「すげー!」「強そうに見えないのに!」
などと少年達は散々な評価を優希に与えた
「うーん…流石に少し傷付くなぁ」
「汁の準備ができました」
テンションを下げた優希に手伝いをしてくれているアズロマが味噌汁の完成を教えてくれる。彼女の髪は薄めの水色で統一されていた
「よし、あとは盛り付けて完成だー!」
切り替えて元気を出して食卓へと料理を運ぶ道中
「ごんべさん、喜んでくれるかな?」
1人の少女が心配そうに優希に尋ねる
「きっと喜んでくれるさ。なにせ皆が頑張ったんだからね!」
もちろん一部失敗していたので味は魔法で整えておきました。何でも応用ができるから魔法使いは辞められないっ!
「料理はすべて、サンディの物と交換してあります」
アズロマの一言は優希にだけ届いたのだが、優希の心に深く突き刺さったのであった…




