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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉
2章

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第2話 義理人情って言葉知ってる?


 勉強というのは子供の頃は非常に面倒くさいことだと思っていた。

 だが大人になると、あの時もっと勉強しておけばよかったと思うことがあるのだから不思議なものだ。


 そう思ったところで子供のころに戻る事はできず、大人になってからだと生活の糧を得るために仕事をしながら勉強するとなるとかなり大変なせいで、中々できることじゃない。

 だから大人は子供に対して、自分と同じ苦労をしないでほしいと思い、子供に勉強するように言うんだろうな。

 もっとも、子供としては勉強なんてつまらないし、何のためにこれを学ぶのか、これが生きていく上で必要な勉強なのかと思うので、自ら率先して勉強できる子供はそう多くないだろう。


「両方の意味で面白いものだな」


 だが、オレはかつて成人男性だったこともあり、勉強の重要性を理解しているからか、意外と学園での勉強を面白いものだと感じていることと、そう感じることそのものを面白いことだと思っていた。


 ぶっちゃけ数学とか意味あるのか? と昔は思っていたが、これ自体にほとんど意味はなくても勉強の仕方や考え方、覚え方を学んでいると思えば、数学の勉強なども意味はあるのだと実感する。

 でも、それを子供に理解させるのは難しくないか?


 つまらない勉強よりも遊びたいと思うのは子供じゃなくても思うから、内容自体に意味がないなら勉強に身は入らないだろう。

 授業自体がつまらなければなおさらだ。


「……(コクリコクリ)」


 前方にある席で優木が頭を揺らして寝そうになっていたが、それは優木だけではなかった。

 このクラスにいる何人もの生徒が寝そうになっており、勉強にまるで身が入っていない。気持ちは分かるがな。


「えーつまり――で、――だから……」


 教師がやる気がないのか、今受けている授業はただひたすらに教科書を読むだけのつまらない授業なのだ。お経かな?


 他の教師はそんな事ないだけに、教師によって当たり外れはやっぱりあるな。


 明らかに寝ている生徒にすら注意しないから、そりゃ気も緩んで眠たくもなるだろう。

 学ぶ気があっても授業がつまらないと、さすがにオレでも勉強する気にはならないな。


 ――キーンコーンカーンコーン


 チャイムが鳴り、教師が去っていったために教室にいる全員が解放感からか、嬉しそうにしていた。

 後はホームルームが終われば放課後なのもあるかもしれない。


「ようやく終わりましたね。さすがにさっきの授業は研究所での勉強よりもつまらなかったです」

「研究所だから結構勉強はおざなりだったのに、そこよりつまらないって相当だな」


 気持ちはすごく分かるから否定できんが。


「斗亜ちゃん、今日はこの後どうする?」

「そうだな――」


 ――ピンポンパンポーン


『笹崎斗亜さんは至急、学園長室まで来てください。繰り返します。笹崎斗亜さんは至急、学園長室まで来てください』


 なんか前にもこんな放送で呼び出されたことがあったな。

 職員室でなく学園長室な段階で嫌な予感しかしない。


「帰りてぇ」

「かしこまりました」

「いや、命令じゃねえよ?」


 ナズナがうやうやしく頭を下げたが、ここで放送ガン無視で帰るのはどうよ?


「でも、斗亜ちゃんが行きたくないなら、わざわざ行かなくてもいいんじゃないかな?

 この学園の生徒だからって、学園長の命令に従わなきゃいけないわけじゃないし」

「それはそうなんだがな。ただ学園長にはオレらをこの学園に入れてくれたり、柚乃が追い掛け回されないよう手を打ってくれたりと、色々手を貸してくれたからなぁ……」


 今まで散々恩を受けてるくせに、ここで無視するとかあまりにも不義理すぎる。


「そんな恩など、斗亜様と比較するまでもありません」

「斗亜ちゃんがしたくない事を強要されるなら、私は恩なんかゴミ箱に捨てて反抗するだけだよ?」

「義理人情って言葉知ってる?」

「その文字の上に斗亜様がいますので」

「優先順位って大事だからね」


 2人に聞いたのが間違いだったのか? すべてにおいてオレを優先しすぎているから怖いよ。

 とはいえ、この2人は基本オレに従ってくれるから、呼び出しに従うかどうかはオレの胸三寸にかかっているのだが。


「今日は特に予定もないし、行ってくるわ」


 もうすぐでホームルームが始まるが、至急とか言ってるから今から行った方がいいだろう。


「かしこまりました」

「分かったよ。それじゃあ行こうか」

「呼び出されたのオレだけで、この後ホームルームがあるはずだが?」

「それは斗亜様より大事な事なのでしょうか?」

「呼ばれてなくても付いていかないわけないよね?」


 ……まあ正直付いて来てくれる方がありがたいが。


 あの学園長には色々親切にしてもらっているとはいえ、1人で会いに行くのは不安でしかないからな。なんか黒幕っぽい雰囲気の人だし。


「おい、ホームルームを始めるぞ。山本と水原はどこに行くつもりだ。呼ばれたのは笹崎だけだろ」

「「あ゛?」」

「ひっ……! い、いや、何でもない。行くなら早く行きなさい……」


 オレと引き離されそうになったからって、担任相手にそんな視線だけで殺しかねない目で睨むんじゃありません。担任の言い分はもっともだっただけに、なんか申し訳ない気持ちになるな。


 まあでも担任の許可も出たことだし、これで心置きなく全員で学園長室に行けるから問題はないが。


 さて、オレは一体何の用で呼び出されたんだ?


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