お仕立て 舞踏会ドレス 6
「ただいまー!疲れた!」
昼食後もヴォルフラムにこき使われました…
なんと仮縫いするよ!と再度バルテン商会に連れていかれて、あらかたヴォルフラムと仮縫いをしてきたところです。
もうお日さま隠れちゃったわよ。
「お帰り、リゼ姉!」
暗い玄関に入ったらすぐさまリトが飛んできて、私に抱きついてきた。
「ちょっとリト、どうしたのよ、もー」
なかなか離れず、ずっとくっついている。驚いて最初は手が出なかったけど、少し震えているような肩に気づき、私はリトの背中に手を置いた。
ゆっくりさすっていると、リトの抱きつく手が少し緩む。
「気にしてただけだよ…」
こんなにぎゅーっとくっついていたのに、リトの言い方がぶっきらぼうで、思わず私は吹き出してしまった。
「帰り遅くなってごめんね。
リトはどうだった?今日魔法の使い方教えてもらったりしたとか?」
話を変えたらリトがパッと顔を上げ、離れた。
「俺、誉められたんだよ!見てて!…って回りに何もないところで…」
声を弾ませ、リトは私の手を引き朝の食堂に向かう。確かに食堂広いもんね。
どうも今日はお姉ちゃんもカイさんもまだ帰宅してないみたいだ。お手伝いさんもいるんだけど、夕方で帰ってしまう。
暗いままの家を手を引かれながら歩くと、食堂に着いた。
リトは私を椅子に座らせると、「じゃあやります!」と高らかに宣言して、離れたところに立ち、何かを唱える。
リトの右側に光が点る。
「おお!光った!すごい!」
リトが魔法を使う姿に思わず拍手をしてしまう。数秒の後、光は消えた。
「火を出せるようになったんだ!」
リトの声がとっても楽しそうなんだけど、ちょっと暗くて顔が見えにくい…
そう思っていたら、食堂のテーブルの上のものが目に入った。
「ねえ、じゃあ、これとかどう?暗いし点けられない?」
私は指す。
「え、ランプ?…火を点ける位置がかなり狭いから上手くいくかなあ…」
リトは戸惑いながらも再び唱える。先程よりもゆっくりで、リトの気が張っているのか声が強張っている。
やがてランプの中に明かりが付いたが、ぴっ!と、音がした。光が途端に大きくなり、眩しくて私は顔を手でおおった。
パリンと音が立てられ、私の掌に何かがぶつかる。
「ごめん!リゼ姉、大丈夫?」
リトが私の隣に走りこんできた。
「あはは、私が無理言ってごめんね。私も近くにいすぎちゃった。
…手、怪我したみたい。まずは水で洗ってくるね。リトは明かりをつけてくれる?」
務めて声をいつも通りにしているが、ずきずき切れた部分が熱く脈打つ。暗い中だから顔が見えにくくて、少し安心してしまった。
「あ、じゃあこれでとりあえず止血して」
リトが差し出してくれたものを受け取り、手を覆う。
「ありがとう」




