お仕立て バックの補修 12
女の子が次に持ってきてくれたのは、先ほどのサイズの箱を重ねて4段。しかも一番上段の箱からはなにやら飛び出している状態で持ってきた。
女の子がいくら小柄とはいえそんな状態なので、階段を下りきる最後に階段入り口で天井に引っ掛かった。
「ニーア。ほら、寄越しなさいよ」
何やらクルトさんと話していた男性は、女の子の所までいくと、荷物を分けて持つ。が…
「!!!な、なんなのよ!この重さ!」
「菱目打ちを色々持ってきました!」
「ほんっとあんたってば見た目可愛いのに、力強くって…なんで男の私よりも力持ちなのよ!」
背の高い男性は腕をプルプルさせながら、辛うじて落とさず、カウンターまで持ってきた。
なんとか大きな音もたてずに男性は下に箱を置いた。床がきしり、と鳴る。
「あー、もう。こんなに重いと肩やられちゃう」
肩を回す男性の隣に重なった箱に隠れた女の子がとことこ来て同じように床に下ろす。
「そうですか?ヴォルフラムが軟弱なだけだと思います」
「な、なんですってぇぇ!」
今にも喧嘩が始まりそうな様子に水を差すように、婦人が厚みのある本をぴしゃっと閉じた。
「…お止め。お客様の前だよ。
さて…お客様、革製品の刺繍に必要な道具もあらかた揃っていると思うから、じっくり必要なものを選んでくださいな。
色違いもあるから、まずは物を」
夜。
カイさんの屋敷の部屋のなかで私は今日買ってきたものを袋から出した。(正確にはクルトさんへのつけ払いだけど)
菱目打ち、ワックス、それに黒い麻糸、ハンマーを取り出す。他にも買ってきてはあるけど、ファティマのバックを直すにはこれだけで十分だ。
ファティマから預かったバックの中身を取り出すと、中から糸巻きが出てきた。
「あれ?なんだろ…?」
糸巻きだけで針はない。首を捻り、外の荷物と一緒にまとめておく。
なにもなくなったバックを一度広げ、革の様子を確認して、菱目打ちで穴を開けていく。
そのあとは、糸をクロスにするように縫い合わせれば直すのはおしまいだけど…
買ってきたものから布を出す。ファティマの薄い布地の服と色を合わせた青地に草の柄の入った布を取り出す。
ファティマのバックを見たときに、外は革を直した方がいいと思ったけど、中の方は少しアレンジしたいと思ったのだ。
「喜んで…くれるといいな…」
採寸をしながら呟く。
バックを直している間に夜は更けていった。




