お仕立て バックの補修 8
稼いでいたなけなしのお金を持っていってしまったスリを恨めしく思いながらも、手持ちがないのは仕方がない。
(型番を控えてあとでカイさんのご実家経由の伝で購入してお姉ちゃんに立て替えてもらうか、配送をして貰ってから、家で支払うか、ファティマに先払いをしてもらうか…ううん、お金ーほしいー!)
すっかりお金が必要ない生活をしていて、生活力が落ちていた自分のうっかり具合を嘆きたくなる。
「どうかしたのか?」
奇妙そうにクルトさんが私の顔を見る。
そういえば、この忙しい人の時間も割いて貰ってるのを忘れてた…しかも、馬車の回りにも騎士団の方々がいらっしゃる状態だし…
私の中でここは早々に白状しておこうと、天秤が傾いた。手をあげる。
「あの、ひっじょーに言いにくいのですが…お金をあの騒ぎで紛失していまして…
お金、貸してください」
「金は持っていない」
「へ?」
さらっとなに言うんでしょう?確か貴族さんでもあったのでは…
「君も騎士団の証文を使って旅をしてきたかと思うが、同じような形でね…まあ、信用払いができるから、私が立て替えておこう。存分に必要なものを用立てたまえ」
「すみません、あとでお支払します」
「騎士団の雑費経費として立て替えるから問題ない。
それに不当勾留をしていたのだから、その分の謝罪としてとらえて貰って構わない」
クルトさん言い方固いけど、気にするなって言って貰えているのは分かる。
「じゃあ、そう捉えさせて貰います。…めっちゃ謝罪費貰ってる気もしますが…」
馬車の外を見ると、隣に馬に乗った騎士が見える。少し遠くを見やると前の方にも2人…馬車に乗る前に五人くらいいたような…
…早く買い物済ませよう。お金に換算すると怖い金額だわ。
そんなことを考えているうちに馬車が止まる。扉が開けられ、クルトさんが先に降りると手を差し出してくれた。
馬車、高さもあるので支えられて降りたところには立派なお店の門構えがあったのでした。
サブタイトルの番号を間違えていました…




