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お仕立て バックの補修 9

 目の前には、重厚と思える店構え。

 門のように見える店の入り口には、高い柱があり、その上に何やら猛禽類が羽を広げていて頭上を羽が渡っており、より門のように思えた。

 門を形作る飴色がかった金属は、古くからこの門が設置され、磨かれて手入れをされていたのを物語るようだった。


「一番の老舗だ。…あまり裁縫には縁がないから、一番揃っていそうな有名な店を選ばせてもらったよ」

 後ろからクルトさんが来て、私の側を通り抜け店の扉を開けてくれた。

「どうぞ」

 一歩を踏み出すのには躊躇が出たが、歩き出せば扉の向こうに、反物がずらっと並ぶ様子が目に入り、引き寄せられる。


 床は丁寧にタイル張りで磨かれているのか、壁の棚に並べられた反物を写し出していた。

 店の中にはいると、壁一面の反物が店の入り口から奥に続き、少し先にはカウンターと上の階に上がる階段が見えた。壁に並ぶ反物に目をやると、白の綾織り生地だった。かなりの細い糸で織られていて、光沢があり絹のように滑らかに見え思わず釘付けになる。


 後ろからクルトさんが来て、私の少し後ろで止まる。

「この国で流通しているものはほとんど手に入ると言われているらしい。妻も良く仕立てを依頼しているらしくて、それでこの店を勧められたのだよ」

 これは確かに見事…同じ織りで色もグラデーションのように綺麗に並べられ揃っている。

 …それにしても奥様がいるとか、サラが聞いたら宝石売り込みそうな…それとなく聞いてみようかしら?

 思わず金勘定に頭が走りそうになったけど、クルトさんが先に歩みを進めたので、遅れて追いかける。

 少し開けたところにはカウンターと、非常に高齢なご婦人と、背の高い男性がいた。

「お久しぶりです、マダム。

 先馬を出して知らせていましたが、縁のあるお針子が、不幸があって道具を失ってしまってね。裁縫の道具を揃えたいのだが、頼めるか?」

「お久しぶりです、坊ちゃま。最近はお顔を見せてくださるのがユーディト様ばかりでしたから、すっかりこの老いぼれをお忘れかと思いましたよ」

 やれやれ、というように頭を振りご婦人が答える。古くからの知り合いなのかな?

「騎士団団長さまなんだから、忙しいんでしょ?それにしても、クルトに会うのも久しぶりね。

 たまには私を仕立てでに屋敷に呼んで欲しいんだけど」

「冗談。妻のドレスの仕立てを男のお前に任せるのも嫌だし、お前に任せると奇抜すぎる」

 背の高い男性が話す内容とクルトさんの声色がかなりの気安さを帯びている。クルトさんは嫌そうな顔をして見せてるけど。 

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