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閑話休題 王都への旅4

 濡れ鼠になったファティマをそのまま旅をさせることはできず、服を乾かしながらしばらく川辺にとどまることにした。

 血抜きをしてくれた兎は捌いてもらい、いまは串状の木の枝に通され、火にあぶられている。

 ファティマにはなるべくぱちぱちと火がはぜる焚き木のそばにあたって服を乾かしてもらう。

 リトはファティマをあまり見ないようにしてくれている。…服の生地が薄くて、ファティマがすごく女性的なラインしてるから、目のやり場に困るよね…私も困ってます。

「すみません、ちょっと欲張りすぎました…」

「3人分捕ってくれたんだもの。逃がしちゃっても仕方がないわよ」

「いえ…一匹を捌いていたら別の兎に暴れられた拍子に足を滑らせまして…残りの二匹は川に流れていってしまったんです…」

 私の頭の中に水に流されて、あーれー、と渦に飲み込まれていく兎の姿が思い浮かんだ。…兎も哀れだわ。


 済まなそうに話すファティマは背の高い体を縮めこませて、膝をたてて座り込んでる。このままぐすぐす泣き出しそうな感じなのを見越してか、リトが立ち上がる。

「少し道を戻ったところの木に果物あったから、取ってくるよ。リゼ姉、ファティマさんの服少しでも乾かしてやって」

「ありがとう、リト!」

 リトが離れたのを確認して

「さ、ファティマ、一回服脱いで!そんでタオルで体拭いてちょうだい」

「えっ、えっ!」

 バックからタオルを取り出した。

 マントを引っ張り剥がし、ファティマを万歳させて服を脱がせ、タオルを渡して再びマントを掛けた。

 兎肉の串のとなり、火から少し離れて枝2本を地面に突き刺し、服を被せた。

 これで乾きやすくなるはず。

 目の前まで来た服を見て、思わずまじまじと見入ってしまった。

 薄い生地だとは思っていたけど絹の絣織りのようだ。花の模様と思っていたものは、織っているのではなく、直接描かれている。細い筆で細かい細工で思わず見入ってしまった。

 私の様子に不思議そうにファティマが声をかける。

「どうかしましたか?」

「あ、ごめんなさい。すごく手の込んだお洋服だなって思って。私、お針子だから、素敵な服大好きなの」


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