お仕立て グローブ その4
このあと追加するかもしれません。
すみません
夕方、やっと自分の時間が出来たので、依頼を受けたグローブの製作に取りかかることにした。
先ずは生地選び。店のなかをぐるっと見渡し、考える。
「イズミさんって見事黒系のお洋服だったよね…」
うーん、無難なのは黒グローブだろうけど、そこまで黒くして良いのかな?
イメージしてみて、重たすぎる感じがして、頭を振った。
反物を入れた棚の前に座り込み、幾つか反物を選び、広げる。自分の手にも巻いてみる。
「これかなあ…じゃあもうひとつは…」
立ち上がったときになにかが足に当たって、あ、っと思い出した。
慌てて自分の生成りのワンピースのポケットを漁る。たしかイズミさんから受け取ったものだ。
お昼ごはん食べるからとポケットに入れてたのすっかり忘れてた。
出すと、包みはバラけていた。ガラス玉みたいな薄青の宝石かな…?あとは金貨二枚。
…めちゃめちゃ良い方じゃないですか!
グローブだったら金貨一枚でもお釣り出るよ!
薄青の宝石は私は良くわからない。宝石はサラの専門だから、聞いてみようかな。
妹さんの情報もあるかもしれないし。
「算段考えたところで、設計つくろうっと。たしかイズミさん、肌を守って、涼しくなるのがいいって話してたしなあ。」
再び生地を取り出し、広げる。
同じ黒の生地でも色々あるのだ。
織り方でも模様の入り方や生地の厚みが異なるし、糸の素材でも毛羽たつようなふんわりした布やさらっとした布など変化してくる。編まれて伸縮性のある素材だと、糸で厚みも変わるけど、うちはあまり取り置きが少ない。この土地では高価なのだ。
それに染色が難しく、色が落ちやすいので白っぽい生地しかうちにはないのです。
今回は寒い土地からきて、ここが暑いならなるべく薄い生地がよいのだと思う。
色も黒にするなら、うちの在庫を考えると織物を選ぶことになる。
しばらく探し、おおよその目処がたってきた。
高い生地でも普段出すことはほとんどないからこの機会に使ってみたい、外国の織り方を真似た透けるような薄い織物だ。
薄い生地なので服に使うのは抵抗ありすぎるけど…うん、卑猥すぎる。でもグローブとか、アクセサリー的な扱いのグローブに使うのはありじゃないかと思う。
腕に掛けて、みたらなかなか良くなるかも、と思いを馳せる。
「うん、今回いっぱい貰っちゃってるし、この生地使ってみようっと」




