表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/45

第30話「休息と再出発」

前回のあらすじ


封印の遺跡で古代の魔物と遭遇したアキラたち。影の組織の企みにより封印が解かれるが、クロウの助けで何とか逃げ延びる。試練はすでに始まっていた――


-----


## 第30話「休息と再出発」


王都に戻った翌日。


俺たちはギルドで、セリアに報告していた。


「……封印が解けかけた、か」


セリアが眉をひそめる。


「ええ。クロウさんが再封印してくれましたが……完全ではないそうです」


リーナが答える。


「厄介だな。セレスティアには、俺から伝えておく」


セリアがため息をつく。


「お前たちは、しばらく休め」


「え?」


俺が驚くと、セリアが続けた。


「Aランクダンジョン攻略から連日の依頼だ。疲労が溜まっているだろう」


「いや、俺は全然平気ですよ!」


「お前は平気でも、他のメンバーが平気とは限らん」


セリアがリーナとエリンを見る。


確かに、二人とも少し疲れた顔をしている。


「そうね……少し休みたいかも」


リーナが小さく言った。


「じゃあ、三日間休暇だ。その間は依頼を受けるな」


「了解しました」


ガルドが頷いた。


-----


ギルドを出ると、リーナが伸びをした。


「ふあ……久しぶりの休みだわ」


「そんなに疲れてたのか?」


俺が聞くと、リーナが苦笑する。


「あなたと一緒にいると、気が休まらないのよ」


「ひどい!」


エリンがクスクス笑っている。


「でも、お休みって何するんですか?」


「そうね……」


リーナが考える。


「エリン、あなた街を観光したことある?」


「いえ、まだ全然……」


「じゃあ、一緒に回りましょう! 女の子同士で!」


「本当ですか!?」


エリンが目を輝かせる。


「ええ! 可愛い服とか、美味しいお菓子とか、色々見に行きましょう!」


「わーい!」


二人が盛り上がっている。


「俺たちは?」


ガルドが聞くと、リーナが冷たく言った。


「男子は別行動」


「即答かよ!」


俺がツッコむ。


「だって、あなたたちがいると服とか選べないもの」


「それ、どういう意味……」


「特に意味はないわ」


リーナがニコリと笑う。


怖い。


「じゃあ、アキラとガルドは男同士で楽しんでね」


「はーい……」


俺とガルドは、二人に見送られた。


-----


**【リーナとエリンの休息】**


「さあ、まずは服を見に行きましょう!」


リーナがエリンの手を引く。


「はい!」


二人は、街の中心部にある服屋に入った。


「うわあ……綺麗な服がいっぱい……」


エリンが目を輝かせる。


「エリン、これとか似合いそう」


リーナが青いワンピースを持ってくる。


「え、でも……高そう……」


「大丈夫! 今回の依頼の報酬、まだもらってないけど、私の貯金で買えるわ!」


「そんな、悪いです……」


「いいのよ。エリンにプレゼント」


リーナが微笑む。


「リーナさん……」


エリンが感動する。


「さ、試着してみて!」


「はい!」


-----


試着室から出てきたエリン。


青いワンピースが、彼女の金色の髪によく似合っている。


「どうですか……?」


「すっごく可愛い! 似合ってるわ!」


リーナが拍手する。


「本当ですか!?」


「ええ! これ、絶対買いましょう!」


「ありがとうございます、リーナさん!」


エリンが嬉しそうに笑う。


「それと……」


リーナが別のドレスを取る。


「私もこれ買おうかな」


「リーナさん、それ似合いそうです!」


「そう? ありがとう」


二人は服を選び、会計を済ませた。


-----


次に、二人は街のカフェに入った。


「ケーキ、美味しそう……」


エリンが目をキラキラさせる。


「好きなの頼んでいいわよ」


「本当ですか!?」


「ええ。今日は私が奢るから」


リーナが優しく言う。


「リーナさん……優しいです……」


エリンが涙ぐむ。


「そんな、大したことじゃないわ」


リーナが照れくさそうに笑う。


二人はケーキとお茶を注文した。


「美味しい……」


エリンが幸せそうにケーキを食べる。


「エリン、村を出て冒険者になって……後悔してない?」


リーナがふと聞く。


エリンは少し考えてから、答えた。


「後悔は……ないです」


「そう」


「だって、リーナさんや、アキラさんや、ガルドさんに会えたから」


エリンが微笑む。


「私、みんなと一緒にいると、すごく楽しいんです」


「エリン……」


「それに、強くなれてる気がします。村にいたら、きっと何も変わらなかった」


エリンが真剣な顔で言う。


「でも今は、魔法も使えるようになったし、戦い方も少しずつわかってきました」


「あなた、本当に成長したわよね」


リーナが優しく言う。


「最初はFランクだったのに、今はDランク。才能があるわ」


「そんな……リーナさんに比べたら、まだまだです」


「謙遜しすぎよ」


リーナが笑う。


「これからも、一緒に頑張りましょうね」


「はい!」


二人はお茶を飲みながら、笑い合った。


-----


**【アキラとガルドの休息】**


一方、俺とガルド。


「で、何する?」


俺が聞くと、ガルドが腕を組んだ。


「そうだな……とりあえず、飯でも食うか」


「賛成!」


俺たちは、街の食堂に入った。


「おっちゃん、肉料理二つ!」


「あいよ!」


店主が元気よく答える。


「なあ、ガルド」


俺が話しかけると、ガルドが顔を向ける。


「なんだ?」


「お前、昔のパーティーってどんな感じだったの?」


ガルドが少し驚いた顔をした。


「急にどうした?」


「いや、前に言ってたじゃん。『昔の仲間を思い出す』って」


「ああ……」


ガルドが遠い目をする。


「そうだな……俺が20歳の頃の話だ」


「20歳? じゃあ15年前か」


「ああ。当時、俺はBランク冒険者だった」


ガルドが語り始める。


「仲間は三人。俺、魔法使い、弓使い、そして……リーダーだった剣士」


「リーダー?」


「ああ。強くて、優しくて、みんなから慕われてた」


ガルドが微笑む。


「そいつと一緒にいると、不思議と安心できたんだ」


「へえ……」


「でも、ある依頼で……」


ガルドの表情が曇る。


「リーダーが、命を落とした」


「……そうなのか」


「ああ。それで、パーティーは解散した」


ガルドがジョッキを傾ける。


「それ以来、俺は一人で冒険者を続けてた」


「寂しくなかった?」


「寂しかったさ。でも……」


ガルドが俺を見た。


「お前たちと出会って、また仲間ができた」


「ガルド……」


「お前たちといると、あの頃を思い出すんだ」


ガルドが笑う。


「だから、絶対に失いたくない」


「……俺も」


俺も笑った。


「みんなのこと、絶対に守るから」


「頼りにしてるぞ、最強の逆転者」


「最強はまだ早いって!」


二人で笑い合った。


-----


食事を終えた俺たちは、武器屋に向かった。


「アキラ、お前、木剣買い忘れてただろ」


「あー……そうだった」


俺は武器屋の店主に声をかけた。


「すみません、木剣ください」


「木剣? 何本だ?」


「えーっと……50本」


「50本!?」


店主が驚く。


「あ、いや、予備も含めて……」


「あんた、一体何に使うんだ?」


「特訓です」


「特訓で50本も使うのか……」


店主が呆れた顔をする。


「まあいい。50本だな。銀貨10枚だ」


「はい」


俺は銀貨を渡した。


「アキラ、お前、木剣何本折れば気が済むんだ……」


ガルドがため息をつく。


「いやー、俺、力加減苦手だから……」


「それ、冒険者として致命的だぞ」


「わかってるって……」


-----


武器屋を出た後、俺たちは街の訓練場に向かった。


「よし、せっかくだから少し訓練するか」


ガルドが剣を抜く。


「おお、いいね!」


俺も木剣を構える。


「じゃあ、手合わせだ。手加減しろよ」


「わかってる!」


俺とガルドが向かい合う。


「いくぞ」


ガルドが剣を振る。


俺は木剣で受け止める。


カキン!


「おっ、今回は折れなかったぞ!」


「当たり前だ。まだ一撃目だからな」


「ひどい言われよう……」


俺は笑いながら、ガルドと剣を交える。


カキン、カキン、カキン……


心地よい音が響く。


「アキラ、お前、力の制御が少し上手くなったな」


「マジで!?」


「ああ。前より、だいぶマシだ」


ガルドが笑う。


「よし、じゃあもう少し強く――」


バキィィィン!


木剣が折れた。


「あああああ! また折れた!」


「やっぱりな」


ガルドが苦笑する。


「でも、前より持ったぞ。成長してる」


「そうかな?」


「ああ。このペースなら、いつか完璧に制御できるようになる」


ガルドが肩を叩く。


「頑張れよ、相棒」


「ああ!」


俺は新しい木剣を手に取った。


-----


夕方。


俺とガルドは、街の展望台に登っていた。


「綺麗だな……」


街を見下ろす景色。


二つの太陽が、ゆっくりと沈んでいく。


「なあ、ガルド」


「ん?」


「俺、もっと強くなりたい」


俺が呟く。


「みんなを守れるくらい、強く」


「お前は十分強いだろ」


「でも、まだ足りない気がするんだ」


俺は拳を握る。


「封印の遺跡の魔物……あれ、俺一人じゃ倒せなかった」


「当たり前だ。あんなの、Sランクでも厳しいぞ」


「でも、いつかまた封印が解ける。そのとき、俺が倒さないといけない」


俺がガルドを見る。


「だから、もっと強くなる」


「……そうか」


ガルドが微笑んだ。


「なら、俺が鍛えてやる」


「本当か!?」


「ああ。地獄の特訓、覚悟しろよ」


「よっしゃ! 任せた!」


二人で拳を合わせた。


-----


その夜。


宿の食堂で、俺たちは再会した。


「おかえり、アキラ、ガルド」


リーナが笑顔で手を振る。


「おー、リーナ、エリン! 楽しかった?」


「ええ、すごく楽しかったわ」


リーナが新しい服を見せる。


「ほら、これ買ったの」


「おお、似合ってるじゃん!」


「ありがとう」


エリンも嬉しそうに服を見せる。


「私も買ってもらいました!」


「可愛いな、エリン!」


「ありがとうございます!」


みんなで笑い合う。


「明日から、また依頼だな」


ガルドが言うと、リーナが頷いた。


「ええ。しっかり休んだから、また頑張れるわ」


「俺も!」


エリンが元気よく答える。


「よし、じゃあ乾杯しよう!」


俺がジョッキを掲げる。


「これからも、よろしくな!」


「「「乾杯!」」」


四人のジョッキが、カチンと音を立てた。


-----


その頃。


王都の裏路地。


黒いローブを着た男たちが、集まっていた。


「封印の遺跡は失敗か……」


「ああ。だが、まだ諦めていない」


「次は、逆転者を直接狙う」


「いつだ?」


「もうすぐだ。奴らが次の依頼を受けたとき……必ず仕留める」


男たちが不気味に笑った。


影の組織が、再び動き出す――


-----


翌朝。


俺たちはギルドに集まっていた。


「よし、今日から再開だ!」


俺が張り切っていると、セリアが声をかけてきた。


「アキラ、ちょうどいいところに」


「どうしました?」


「お前宛に、特別な依頼が届いている」


セリアが封筒を渡す。


「特別な依頼?」


俺が封筒を開けると――


『親愛なるアキラへ。


あなたの力が必要です。


東の山脈に、古代の遺物があります。


それを手に入れれば、あなたの力はさらに覚醒するでしょう。


ぜひ、来てください。


――セレスティア・ローゼンバーグ』


「またセレスティアからか……」


リーナが呟く。


「しかも、『力が覚醒する』って……」


「怪しいわね」


「でも、行ってみる価値はあるかもな」


ガルドが腕を組む。


「どうする、アキラ?」


「もちろん、行く!」


俺が即答すると、リーナがため息をついた。


「やっぱりね……」


「だって、気になるじゃん!」


「あなたの『気になる』は大体トラブルなのよ」


「大丈夫大丈夫!」


俺は笑った。


「じゃあ、決まりだな。東の山脈に向かうぞ!」


「「「おー!」」」


俺たちの新たな冒険が、始まる――


-----


**次回予告**


休息を終えたアキラたち。セレスティアからの依頼で、東の山脈へ向かうことに。そこで待ち受けるものとは――? そして、影の組織の罠が迫る……!


次回、第31話「東の山脈と古代の遺物」


お楽しみに!


-----


**現在のアキラのステータス**


- **レベル:832**

- **HP/MP/攻撃力/防御力/魔力/敏捷性:832,000**

- **ギルドランク:Cランク**

- **所持金:金貨82枚、銀貨20枚**(木剣50本購入で銀貨10枚消費)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ