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リセット(2)


 帝都はさながら地獄のようであった。

 一人の死神から、女子供、老若男女問わず逃げようとした。死神の視界に入った者で、腹を切り裂かれていない者はいなかったが...

 レオンは殺戮を終え、もう一つの目標を達成するために、皇帝のいる城へと歩を進めていた。

 城に着くと、迷うことなくレオンはある人物の元へ向かった。



「な、何だお前は!?」



 醜悪な豚のように丸々と太った男は、急に部屋に入ってきたレオンに唾をまき散らしながらわめいた。



「君が、ホルン皇太子だね?」


「それが何だ?」


「カレンを殺したのは君だね?」


「カレン?ああ、あの女か、いい具合だったぞ。「レオン、レオン」と泣きながら喚いてたな。それが...」


「それが分かれば十分だ。もう喋るな、不愉快だ」



 ホルンの視界が一段低くなった。

 両足をレオンに切り飛ばされたのだ。

 ホルンはあまりの痛みに意識を失うという寸前で、手の甲を剣で刺される痛みによって覚醒させられた。

 人間、あまりの痛みを感じると悲鳴もあげられないらしい。ホルンは体中から出せる液体という液体を垂れ流しながら震えていた。

 レオンはそのホルンに向かって、手をかざした。

 レオンの手が光り出すと、ホルンの傷口は綺麗に塞がった。

 ホルンは急に引いた痛みに困惑した。



「知ってるかい?治癒魔法をかけた後は感覚が鋭敏になっているから、いつも以上に痛みを感じることが出来るんだよ」



 レオンからのその言葉を聞いて、ホルンは舌を噛み切って自殺しようと思った。先程以上の痛みを味わうくらいなら早く死んだ方がマシだと思ったのだ。

 しかし、それは叶わなかった。

 レオンの指先が黒く光り、その光はホルンに纏わりついた。



「お、お前、こ、この魔法は!」


「君ならよく知ってるでしょ?隷属魔法だよ」



 隷属魔法は、カグヤやシーナに掛けられていた魔法で、主に奴隷や犯罪者に掛けられる。効果は術者の命令に逆らえなくなり、勝手に死ぬことを許されない。つまり、自殺できなくなるのだ。



「誰か、誰かおらんのか!?」


君以外・・・、この帝都に生きている人間はいないよ。君で終わりなのさ」


「ば、馬鹿な、そんなことありえん!」


「いやー、やってみると案外早く終わって良かったよ。君をなぶる時間が増えた」



 レオンの言葉を聞いたホルンは諦めたような顔になり、卑屈な笑みを浮かべながら口を開いた。



「何故帝国が王国に宣戦布告したか知ってるか?」



 ホルンはレオンの反応を見るため視線を上げた。



「全てお前が原因だ。お前やお前の発明した数々の魔道具などを手に入れるために、帝国は王国に宣戦布告した。王国の民が死んだのも、カレンとか言う女が死んだのも、全てお前が存在・・したからだ。どうだ、こんなにも評価されて嬉しいだろう?国をその身一つで動かしたんだからな」



 ホルンはレオンを馬鹿にするように嗤った。

 レオンは俯きながら、それを黙って聞いていた。

 ホルンはレオンが絶望したと思い、最後にその顔を拝もうとしたが、それは叶わなかった。

 ホルンの首が飛んだのだ。



「もういいや。君の声を聴いているだけで、僕はどうにかなりそうだ」



 レオンは帝都中の人間を殺し尽くした。

 材料は揃っているので、魔法陣の作成へと移行するレオンであった。



 



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