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父に頼まれて契約結婚することになりましたが……どうやら退屈する暇もなさそうです!  作者: ゆずこしょう
結婚ですか……?

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結婚ですか……

「フフフ…今回の商品も上々の売れ行きね…」


店先で大好きなお金が入った袋を見ながらうっとりしていると、侍女であるモニカが話しかけてきた。


「マーガレットお嬢様…お外でそのようなお顔はやめてください。皆様が見ております…」


「仕方がないじゃない…私の唯一の趣味なのよ?」


昔から「女性は愛されてこそよ。」なんてよく言われたけれど、私はその言葉が何故だか胡散臭い言葉にしか聞こえなかった。


もしかしたら父が母親に捨てられているのが原因だったりするのかもしれないけれど…


それに比べてお金は嘘をつかないし、頑張ったら頑張った分だけ戻ってくる。それにお金があることで得ることができる信用もあるのだ。


下手な口約束に比べればどれだけ安心か…


人は愛せる自信がないけれど、お金ならいくらでも愛せる。


「お嬢様。そのお顔を人にも向けることができればすぐ婚約者が見つかりますよ…」


私が小さい頃から専属侍女として働いてくれているモニカは、私のことを誰よりもよく知っているためか、ズバズバと言いたいことを言ってくる。


まぁ、人の機微に疎い私にとっては、下手に隠されたり、裏で色々陰口を言われたりするよりも、気持ちを吐き出してくれた方がありがたいのだけど…


「今どんな顔をしているか分からないけれど…仕方がないわ…だって私の金貨ちゃんたちがこちらを見つめてくるんだもの…」


にやにやしてしまっているのは申し訳ないけれど、こればかりは仕方がないのだ。なんと言っても私が愛してやまない金貨ちゃんを相手にしているのだから…。


「はぁ…取りあえず旦那様から午後、書斎に来るよう仰っていましたので帰りましょう。」


私の首根っこを掴んでズルズル引きずるモニカ。

このまま私が金貨をずっと見ていると埒が明かないとでも思ったのだろう。


そ、それにしても首が苦しい…。


「わ、わ、わかったわ!自分で歩くから引きずるのはやめてちょうだい。」


「分かりました。」


パッと手を離して歩き出すモニカ。急に手を離すから転びそうになってしまった。


それにしてもお父様から呼び出されるなんて珍しいこともあるものだ。家族のことを大事にはしているのだろうけど、なかなか顔を合わせる機会がない。

この国の財務長を務めていて忙しいことも知っているから、私も弟も文句は言わないけど…


家に帰ると直接書斎に向かった。


「お父様…マーガレットです。お待たせして申し訳ございません。」


「大丈夫だ。急に呼んですまないな。それで早速本題なんだが…お前にはフェザリス公爵と結婚をして欲しいのだ。」


お父様の言葉に目を見開いた。


開いた口が塞がらないとはまさにこんなことだろう。


「え?」


「結婚ですか…?」


まさか自分が結婚の話をされるとは思ってもいなかった。


ジェラール・フェザリス。


五年前…前フェザリス公爵が亡くなり、その跡を継いだのがジェラール様だったと記憶している。私の二つ年上で二十歳だったはずだ。


「確か、ジェラール様には婚約者がいたはずではありませんか?」


まるで絵に描いたように綺麗で整った顔立ちに、十五歳という若さで公爵となったジェラール様は、女性たちの間ですごい人気だったと記憶している。それも婚約者ができたことで、少し落ち着いたようだけど…。


そんなジェラール様の心を見事に射止めたのがクリスティーナ王女殿下だった…はずだけど…?


「それがな…その婚約はなかったことになったのだ。」


え?結婚式の日取りまで決まっていたのに…?


「クリスティーナ王女殿下には実は別に好きな男がいたらしくてな。その男の子を身籠っているらしい…」


私はお父様の言葉に唖然とする。

才色兼備とも言われ、誰にでも分け隔てなく優しいクリスティーナ様が…他に好きな男性がいて、しかも相手の子を身籠るなんて…全くもって世も末である。


「それで、私にクリスティーナ王女殿下の代わりになれとそういうことですか?そもそもジェラール様はこのことを知っているのですか?」


「知っている。それにな、今回のことはクリスティーナ王女殿下が原因ではないのだ…」


お父様はため息をついてからぽつりぽつりと話し出した。


そもそも二人が婚約したのは周りがうるさかったから婚約したらしいのだが、二人には別に好きな人がいた。そして二人の好きな人は貴族ではなく平民だった。


「王女殿下と公爵が平民と恋愛なんて。私は何か物語を聞かされているのですか?」


正直、恋愛に興味のない私からすると話を聞いているだけで目眩がしてくる。


「そう思う気持ちも分かるが、残念ながら本当の話だ。」


それからも話は続き…食べてもいない甘いケーキを三十個くらい食べたような気持ちになってしまうくらいには、私にとって地獄だったと伝えておこう。


「要するに二人には別に好きな人がいた。そして王女殿下には子供もいる。だから別れることになった。ということですね。それで何故私が出てくるのですか?」


そもそもフェザリス公爵にも恋人がいるなら、その人と結婚すれば丸く収まるんじゃないかと思うのだけど。私が結婚する意味なんか全然ないだろう。


「それがな…相手の女性はフェザリス公爵と結婚したくないらしい。」


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