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転生先は灰かぶり  作者: 紗吽猫
サブイベント~片翼~
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第八夜 ①

決意を新たに日々を過ごして一週間。夏休みもすぐそこまでやってきていた。すっかりと制服も冬服から夏服に変わりきった頃。なんの成果も得られないまま無情にも日々は過ぎていった。


「一体、どこにいるのよー!!」


エラは先日のフォローをする為にエミーユを時間の許す限り捜しているのだがなかなかみつからない。というのも人の多いところで接触すると後々面倒になるからだ。


…攻略対象って揃いも揃って美形ばっかだからエラが親しくすると虐めがエスカレーターしちゃうのよねー…それが面倒だわ…。

リチアのようにいつでも何処でも話し掛けられればこんな回りくどい事をしなくてもいいのだが、灰かぶりにそんな芸当は許されなかった。

しばしばイオニコフと接触している姿を見られ別れた後数日は事故を装った虐めが増える。水をぶっかけられたりゴミ箱の中身をぶちまけられるなんて日常茶飯事だが、この間は階段から落とされそうになった。


…あの時はたまたま近くにいたイドラに助けられたから事なきを得たけど…とんでもない事しでかすからな…。

教室に向かう階段で風の魔法を使った虐めをされた時の事だ。急に風で押されて上っていた階段から真っ逆さまに落とされた。そんなことをすれば下手したら死んでしまう。しかしエスカレートした彼らにそんな当たり前のことが判らなくなるらしい。この時、何処からともなく現れたイドラが階段から落ちるエラを踊り場で受け止めて助けたのだ。彼がいなければどうなっていたことか…。


…闇属性の魔力が与える悪影響なのか明らかに以前よりも過激になることがあるのよね…。こんなんじゃイオニコフ達を攻略する前に殺されそうだわ…。

イドラが睨みを効かし、犯人達を吊し上げる形で灸を据えたお陰か一旦エスカレートしていた虐めは止んだ。しかし、未だ次から次へと虐めを行う者は現れるのだ。


人目を避けながら校内にエミーユの姿を捜す。


「昼休みなら何処かにいると思ったんだけど…」


彼のクラスを直接訪ねるなんて目立つことはできないし、となると教室を出たところを捕まえるしかない。原作では各攻略対象が出没する場所というのが複数あり、エミーユが出没する場所を重点的に捜しているのだがなかなかみつからない。

…そう言えば…あの時はイドラが助けてくれたのよね…。私の事を警戒していることは間違いないみたいだけど…他の人みたいに死ねば良いとまでは思われてない…のかしら。


それなら彼の攻略も可能だろうか。

そんなことを考えながらさ迷い歩いて辿り着いたのは少し扉が開いた講堂の前だった。


…講堂は…エミーユの出没地だったわね。


こそっと中を覗いてみる。

緩い段差が奥に行くにつれて下がっていき沢山の座席が広がっていて、その突き当たりにはステージが設置されている。

普段、使われない時は閉まっているのだが魔法以外の練習等であれば許可を得て講堂を使用することは出来るので扉が開いているということは誰かが居るということだ。

視線をステージに向けると確かにそこに誰かが居る。ひらひらと宙を踊るように舞う細長い衣のような半透明の布。それを持って踊っているのは…。


「エミーユだ…」


まるで天女が舞うような踊りにエラは思わずため息が出るほど美しいと思った。彼は片翼の天使の翼を出しており、その翼をも含んだ舞のようだった。羽衣のような布を風が吹いているように靡かせている。


…ゲームでは描写だけだったエミーユの舞を生で見れるなんて…思ってもみなかったことだわ。

天使族は舞を舞うことが日課にある。確か一族が集まる会合などでその年の担当になった舞手が披露するのだ。その為の練習は欠かせない。


エミーユは片翼である為にその舞の完成度は最低だというレッテル貼りをされている。しかしながら、初めて実物を見たが最低だなんてとんでもないくらい美しい。指の先まで意識しているのがわかる。真っ白な翼と淡いオレンジ色の羽衣、そしてエミーユ自身が持つ美貌。どれを取っても美しかった。


カタッ。


その美しさに見とれていたエラは自分が出した物音に大層びっくりした。だが、それはエミーユも同じだった。突然の物音に驚いてバッ!と音のした方を見る。そこには座席の間に立つエラがいた。


「先輩!?どうしたんですか!?」


「何故ここに?」と手を止めて慌ててステージを降りてくる。エラはいつの間にか入口から講堂の中に入ってきていた事に今更気がついた。

…しまった…!思わず入ってきちゃった…!

遠くから眺めるつもりが思わず近くまで来てしまっていた。でもまぁ、彼を捜していたのだから問題がないと言えばないのだが。


「僕に何か用が?」


コテッと首を傾げる様子には好感度が駄々下がりした感じはなかった。敵意は感じない。その事にエラは安堵した。まだ挽回できるかもしれない。


「えっと、そうですね。捜していました」


「そうなんですか?すみません…先輩にお手間を掛けさせてしまって…」


「あ、いえ、私が勝手にしたことなのでお気になさらず。それで…」


エラはあるものを渡す為に彼を捜していた。前回の接触イベントで話していたこと。制服のポケットに入れていたもの。


「これは…?」


差し出された小さなラッピング袋を開けて中身を確認する。中に入っていたのは青いハンカチとクッキーの小袋。


「先日のお礼です」


その答えにエミーユは慌てた。


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