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月色の砂漠  作者: チク
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心と体


 キョウは、クスナをベッドに寝かせた。

「導師は今日は家に泊めるから」

 クスナは深く眠っているようだ。起きる気配がまったくない。


「ファウのこと、本当はレファイ家まで送りたいところだけど、ちょっと余裕ない」

 と、キョウ。

 環境維持ロボは、いつの間にか、中央の方へ行ってしまったようだ。


「変なことしないから、今日はもう遅いし泊まって行って」

 キョウの家には、長く使っていない父のベッドもあった。

 そこにファウを寝かせようと、キョウは急いで準備する。

 疲れているであろうキョウを気づかって、ファウは止めようとするのだが、キョウはさっさとベッドを整えた。




 ファウはキョウが準備したベッドに横になっていた。

 キョウは長椅子に毛布をかけて横になった。クスナと同じように、キョウもすぐに深く眠りこんでしまった。

 ファウが長椅子で寝ると言ったが、キョウは譲らなかった。


――わたしがキョウの髪と魂をもらってもいいじゃない。キョウの心と体はあなたのものなんだから……

 ファウはそんな言葉を思い出していた……。


 ファウは起き上がり、長椅子に眠るキョウを見下ろす。

「……変なこと、してもいいのに」

 そんなことをつぶやく。

 キョウにそれだけの体力は残ってないのが残念だ。


 ファウは、キョウの体を横抱きに抱き上げた。

 キョウの寝顔はあいかわらず、無防備で隙だらけだと思った。

 こんな抱き上げられても、起きる気配がない。それだけ疲れているのもあるのだが。



 ファウは、キョウをベッドに寝せた。

 そのまま自分もベッドに入り、しばらくキョウの寝顔を見ていた。

 キョウを自分の腕に腕枕させる。

 誰かに言われるまでもない。これは間違いなく自分のもの、ファウはそんな思いだった。


 キョウの髪を撫でてみる。金色の髪が好きだった。

 でも、今の灰色の髪もそんなに悪くない。

 とはいえ、そうなった原因を考えると許せない気持ちも湧き上がってくる。


 キョウの寝顔を見てるとだんだん心が静まってきた。

 キョウの寝息を聞きながら、ファウは眠っていた。




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