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月色の砂漠  作者: チク


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償い



「やあ、リゾ。今回は派手にやってくれたね」

 ケイはにやりと笑う。

 リゾは聞こえているのかいないのか……。

「レンが死んで悲しいのはわかるけど、きみの処分を伝えに来たよ」

「……ああ」

「最近、干ばつ続きだからさ、三日、雨降らせてよ。もちろん災害が起きない程度の雨だよ。――出来なきゃ殺すから」

 にこやかに言うその言葉に、クスナはぎょっとした。

「最高位って雨を降らせることが出来るんですか?」


 その時、はじめて赤い髪の男――リゾはクスナを見た。

 今まで、誰が家の中に入ってきたか気にもしていなかったらしい。


「雨すら降らせる――それが最高位なんだよ」

 クスナにケイが答える。

「きみにも出来そうだよね?」


「あの、事件は愉快犯の仕業ってことになったのではないですか?」

 とクスナ。

 確か、そんな知らせが届いたはずだった。


「民衆にはそう伝えはしたけどね、『最高位が事件の首謀者でした、お詫びに雨降らせてあげます』

 なんてなかなか言えないよ。だから部外者の愉快犯ってことにしたんだよ。

 本当はそれなりの償いもさせるから。安心してね。あと、この事は秘密だからね。誰にも内緒だよ」

 なんだか、秘密の多い一族だ。


「あと、この場所も民衆には内緒にしてね。――じゃないと……」

 クスナはぞっとした表情でケイを見る。『殺すから』と笑顔で言われるかと思いきや。


「……一晩相手してもらうから」

 ケイは笑顔でそう言った。

「きみのことはすごく気に入ってるんだ」




     * * *


 キョウが目覚めた時、雨が降っていた。

 砂漠の地で、雨は本当に珍しい。


「お腹空いてるでしょ? 一緒に食べよう」

 ちょうど昼時だったらしい。

 ファウがトレーに乗った食事を運んできた。


 二人は、窓の外の雨を眺め、ゆっくり食事をした。

 もちろん、デザートはキョウの好物のばあやのパウンドケーキもあった。


 二人はいろんな話をした。

 幼い頃のこと、今のこと、それからそう遠くない将来のことも――



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