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月色の砂漠  作者: チク


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24/30

少女は満足げに……

     * * *


 クスナは、リゾのことが気にかかっていた。


 最高位たちの知らせでは、行方知れずだそうだが、じゃあ、あの赤い髪の人物は誰か?という事になる。

 薄々クスナは最高位たちは中央の泉に住んでるとされるのは嘘じゃないかと、思い始めた。

 そもそも最高位はルウの地の外に住んでるんじゃないかとさえ、思っていた。




 だから、こうやって、またあのオアシスの場所に来てみた。

 また、体を四つん這いの横向きにして、這うようにして入らなきゃいけないのかと面倒に思った時――


「ひらくごま!」

 クスナの目の前の空間から腕が出現した。


「うわっ!」

 クスナの体は、空間から現れた腕に引っ張り込まれた。

 そこはあのオアシスだった。


「やあ。クスナ・ク・ガイル。神殿で会って以来だね。具合はもういいのかい?」

 と言ったのは、最高位のケイだった。黒髪に黒い瞳の男だ。

 以前、クスナは、長老たちと中央の泉へ行った時ケイに会っていた。

 その時、クスナは水(魔)脈を感じ、具合が悪くなってしまった。ケイはそのことを言ってるようだ。


「僕も今、来たところさ。さあ、一緒に行こう」

 ケイは明るくにこやかに語り、ぐいぐいクスナの腕を引っ張った。


「あの、さっきの『ひらくごま!』というののは?」

 クスナは腕をそれとなく外し、歩きながら聞いた。

「前に『ひらけごま!』で結界を開けようとした者がいてね。だから今度は『ひらくごま』って言いながら、結界を開けてあげたんだよ」


――見られてたのか。

 クスナは落ち込んだ。



 二人がたどり着いた場所。そこは家だった。

 前にクスナが一人で来た時はわからなかったが、このオアシスに家が二件あった。


 二件のうち、一件の家へケイはノックもせずに家に入った。

 家の中は静かだった。

 まず目についたのは赤い髪の男の後ろ姿。

 男は項垂れていた。

 男の視線の先には、ベッド。その上にはキョウの髪をしっかり握りしめて横たわる少女の姿。


 少女はもう息をしていなかった。

 少女――レンは幸せそうな顔だった。

 その顔を男は満足げに見ていた。だがすっかり憔悴しきった表情でもあった。

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