双子のさし飲み(5)
「結局、俺達、小さい頃から何も変わってなくね?」
秋人がそんなことをボソッというから、僕は思わず笑ってしまった。それにつられて秋人も笑い出した。そして、落ち着いた所でそれぞれが飲み物を飲む。さすが双子だ。そう言うペースは同じだ。
そして、再びおしゃべりを始める。まずは秋人から話す。さっきの僕の質問に答えてもらわなくては…。
「そうだな。穂高の言う通りかもしれん。穂高は小さい頃から自分の世界を大切にしていた。だから、一度も地元を離れることなく、今に至っている」
さすがは我が双子の弟…。双子の兄のことをしっかり分析している。人間関係に疎い僕と違って、秋人は人間関係を分析するのがとてもうまい。
「そうそう。秋人は昔から好奇心旺盛で、いつも外ばかり見ていた。だから、どんどん遠くへ言ってしまったのだろうね。そのまま、大きくなったんだな…」
そう言うと、何だかこらえきれなくなって思わず吹き出してしまった。それにつられて、秋人も再び笑い出した。笑い声はさらに大きくなる。
バーのマスターがカウンター越しに微笑んでいる。この雰囲気、すごく心地いい。こんな夜がずっと続けばいいのに…。
これまで、あれこれ複雑に考え過ぎていた。人生なんて、何一つ思い通りにならない。
それでも、ただ、今やりたいことをやる。その積み重ねが過去となり、未来を切り開く鍵となる。いくつになっても、僕らは僕らのままなのだ。この先、何があろうとも、それだけは変わらない。
それが分かっただけでも、また新しい扉が開けた気がした。さあ、夜は長い。今日は話が尽きるまで飲むぞ!
「秋人、今日は徹夜で飲むぞ!」
「俺も穂高に『徹夜で飲むぞ!』とちょうど言おうと思っていたんだ。やっぱり、俺たち双子だな…。ここぞって時はそれぞれの思いが恐ろしいぐらいに重なる」
「次は何を飲まれますか?」
バーのマスターが僕らに向かって、次の飲み物を聞いてきた。秋人も僕もちょうどジントニックとカシスソーダを飲み干した所であった。思わず二人は顔を見合わせる。
「こんな夜には『シンジゲート58/6』を割って作ったハイボールなどいかがですか? 仲の良い双子にはぴったりの飲み物ですよ」
「じゃあ、それを二杯お願いします!」
それからマスターがシンジゲート58/6の由来について語り出した。最高のウイスキーを求めて、六人の仲間が秘密裏に作り出したウイスキー。
それこそ、それぞれの世界を持ちながらも、双子としても強いつながりをもつ二人にぴったりな飲み物だ。マスターが作ってくれたハイボールを受け取ると、秋人と僕は再び杯を重ねて、これまでの人生とこれからの未来に乾杯をした。




