表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

その9

 大晦日、まず籐也君のおうちに行った。そして、籐也君のおうちで夕飯をご馳走になった。籐也君の家には、ご両親も揃っていてかなり緊張してしまった。


「花ちゃん、また遊びに来てね」

 玄関で、お母さんにそう言われた。

「はい、ありがとうございます」

 籐也君のお母さんは優しい。籐也君は一人っ子だけど、大事に育てられていると思う。


「さて、じゃ、花、初詣行ってくるか」

 籐也君はそう言いながら、玄関を出た。私はお母さんとお父さんにお辞儀をして、籐也君のあとに続いた。

 それから車に乗り込むと、籐也君は帽子を深くかぶったまま、発進した。


「なんてね」

「え?」

「初詣になんか行って、見つかったらやばいから行かないよ」

「じゃあ、どこに行くの?」


「部屋、取ってあるから」

「え?」

「この前のホテル」

 うそ~~~~~。


「と、と、籐也君」

「ん?」

「そういうことなら、前もって言ってくれないと」

「心の準備?」

「うん」


 私が真っ赤になってうつむいていると、

「なんだ。花もわかってるって思ったのにな」

と言われてしまった。


 助手席で、私はずっと何を話していいかわからなくなってしまった。一応、念の為にムダ毛の処理も、下着も考えてきていたけど。なんだか、やっぱり、恥ずかしい。


「花?」

「え?!」

「緊張してるとか?」

「うん」


「でも、帰らないよね?」

「え?」

「帰ったりしないよね?」

「う、うん。籐也君に会うの、ずっと楽しみにしていたし」


「花も?」

「と、籐也君も?」

「そりゃ、もちろん…」

 籐也君はそう言うと、ちょこっと私を見て照れくさそうにした。


「なんか、今日の花違うね」

「私?変?」

 髪を切ったから?毛先を少し巻いてきたのが変だった?それとも、服?あ、マフラーが変?


「変っていうわけじゃなくって。しばらく会わなかった間に、大人っぽくなったよね」

「わ、私が?あ、髪のせい?」

「そうかな。よくわかんないけど…」

 籐也君がそう言って、また私をちらっと見ると、少し照れくさそうに笑った。


 ああ、籐也君がすぐ横にいるんだ。ついこの前もテレビに出てた。籐也君が遠い気がして、ちょっと寂しくなってた。でも、今日はすぐ隣に。


「あ、この前さ、深夜の番組の収録があってさ」

「え?うん」

「音楽番組なんだけど、けっこうトークもする番組で」

「そうなの?いつ放送?楽しみ」


「やっぱり、見る?」

「え?もちろんだよ」

「あ、ばらさなきゃ良かったかな。そうしたら、深夜だし見なかったよね?」

「え?なんで?」


 何か変なことでも言っちゃったの?聞かれちゃまずいこと?

「メンバーのみんなに、好きなタイプってのを聞かれて」

「え?」

 ドキン。それでまさか、私と真逆のタイプを答えちゃったとか?


「みんなで、返答に困ってたら、司会の人がなぜか、花に例えたらどんな人?って聞いてきて」

「花?」

 まさか、雑草なんて答えないよね。あ、薔薇とか、百合とか、すごいのを言っちゃたとか?


「俺、雑草って言ったら、みんなも司会の人もびっくりしちゃって」

「い、言っちゃったの?雑草って」

「うん。晃なんて大笑いしてさ…。で、司会の人が、その理由ってのを聞いてきたから、ちょっと」

「……うん」


「ちょっとね…」

「?」

「だから、その番組見ないでいいから」

「え?え?ど、どういうこと?」


 なんだか、籐也君、顔が赤い。

「ああ、あれ、オンエアするのかな。できたらカットにならないかな」

「…変なこと、言ってるの?籐也君」

「変っていうか、かなり小っ恥ずかしいこと言ったかもしんない。だから、花、見なくていい」


「小っ恥ずかしい?って、どういうこと?」

「だからさ。前に花には言ったことあるかも。そんなようなこと」

「え?」

「……あとで教える」


 籐也君はそれだけ言って、黙って前を向き運転に集中した。

 なんだっけ?えっと。なんて言われたっけ?

 私は必死に思い出していた。


 そしてホテルに着くと、また私はエレベーターホールの隅で、おとなしく待っていた。籐也君は、チェックインをしにロビーに行ったが、戻ってこないでなぜか、メールをくれた。

>花、俺、先に部屋に行くから、あとから来て。なんか、今日混んでいるし、一緒に行くとやばいかも。

 確かに。エレベーターホールにも、待っている人が何人もいるし、エレベーターから降りてくる人もけっこういる。


>部屋は、605号室。部屋に来たらドアをノックしてね。

>わかった。

 籐也君は、深々と帽子をかぶり、メガネをしてマスクもしてエレベーターホールに来た。そして、私のことは全く見ないで、来たエレベーターに乗っていった。


 私は、ぼけっと突っ立っているのも変なので、一回トイレに入った。それからまたエレベーターホールに戻り、エレベーターに乗った。

 エレベーターには、カップルが乗っていた。20代かな。なんだか、アツアツで一緒に乗っているのに気が引ける。


 チン…。5階でその人たちは降りていった。もうエレベーターには誰も乗っていない。

「はあ」

 緊張でため息が出た。ドキドキしながら、私は6階で降りた。

 

 ドキンドキン。緊張しながら廊下を歩き、605号室を見つけて、ドアをノックした。すると中から、

「はい?」

と籐也君の声が聞こえた。


「あ、花…です」

 そう言うと、すぐにドアが開き、

「入って」

と籐也君が小声で言って私を中に入れた。


「誰にも見られなかった?」

「うん。誰もいなかったよ」

「そっか。同じエレベーターに6階で降りる人がいたから、やっぱり別々に来て良かったよ」

 籐也君、すごく気をつけているんだなあ。


 籐也君は、メガネとマスクを外すと、ドカっとベッドに座った。

「は~~。なんか、毎回緊張するね」

「う、うん」

 私は違った意味で今、緊張しているんだけどな。


「花、ここ」

 籐也君が私を呼んだ。私はドキドキしながら、籐也君の隣に座った。

「……」

 籐也君、私のことじっと見てる。心臓がもっと、早くなってきた。


「さっきの…」

「え?」

「雑草って言った意味」

「あ、うん」


「…アスファルトの間から、咲いちゃってるような、名もないような花なんだけど、健気で一生懸命咲いてるような、そんなのがタイプって言っちゃったんだよね、俺」

 あ、そうだった。前にそんなこと言ってた。


「で、そういう花を見ると、元気づけられるって。それに、誰かに踏まれたりしないか、守ってあげたくなるって…」

「え?」

 ドキン。


「司会の人に、具体的ですねって言われて、ちょっと困って。だから、つい…」

「つい?」

「うん。そう言う人が、中学の頃にいて、初恋ですってばらしちゃった」

「初恋?!」

 あ、声が裏返っちゃった!


「で、勝手に司会の人が、同級生ですかとか、思いは届かなかったんですかとか、あれこれ聞いてきて、俺、面倒くさいから、どの質問にも、はい、そうですって答えちゃった」

「そ、そうなの?」

「でも、花のことだから。その同級生の初恋の人って誰?なんて、気にしなくていいからね」


「う、うん」

 そうか。私が心配すると思って、そう言ってくれたのか。

「………でも」

「え?」


「ちゃんと、最後には、言ったんだけど」

「何を?」

「多分、花ならわかるようなこと」

「……?」


「ま、いいや。うん。見ないでいいからね?」

「え?え?どういうこと?」

「花。先に風呂入ってきていい?」

「え?うん」


 籐也君は、顔を赤くしたまま、バスルームに行ってしまった。

 それにしても、なんだろう。私ならわかることって。気になる。絶対にオンエア、観なくっちゃ!


 じゃなくって。今はそれどころじゃないんだった。

 ドキドキドキ。今日はどうしよう。やっぱり、バスローブの下は何も着ないほうがいい?

 セミダブルのベッドをなんとなく見つめた。二つ並んだ枕。


 ああ!今日も、籐也君の隣で朝まで眠れるんだ。籐也君の胸に顔うずめたりして。

 ドキドキドキドキ。ダメだ。落ち着こう。そう思ってテレビをつけた。紅白歌合戦には興味がなく、他の番組を見ていると、音楽番組が他局でもやっていて、今年1年のランキングをしていた。


 ウイステリアは出ないよねえ。と思いながら見ていると、ランキングには出てこなかったものの、注目の新人コーナーで、なんとウイステリアが紹介された。

「わ、と、籐也君だ~~!」

 思わずテレビに釘づけになった。いつのライブの模様だろう。ステージに立って籐也君が新曲を歌っている。もしかして、この前のクリスマスのかなあ。


 ガチャ…。その時、籐也君がバスルームから出てきた。

「あ!籐也君、籐也君が出てる」

「え?」

「だから、籐也君が…」


「ああ、そっか。今日、出るってマネージャー言ってたっけなあ」

 籐也君、すごい他人ごとみたいに…。

 籐也君は、バスタオルで髪をわしゃわしゃと拭きながら、私の隣に座った。私はテレビの籐也君に夢中になっていたけど、クルッと隣の籐也君のことも見た。


「う、うわ~~~。なんか、すごい」

「何が?」

「本物が隣にいる」

「なんだよ、それ…」


「自分が出てるテレビ、籐也君見ないの?」

「うん。あんまり。なんか恥ずかしいじゃん?」

「そういうものなの?」

 私はまた、テレビを見た。歌い終わって、司会の女の人がウイステリアのことを話しだした。


「最近注目されているバンドですよね。このボーカル、私、好みだなあ。かっこいい」

 そんなことを言ってる。私は思わず、籐也君の顔を見てしまった。

「何?」

「ううん。こういうことも言われると、恥ずかしいの?」


「別に」

「え?そうなの?」

「だって、社交辞令みたいなもんかもしれないし」

 そうかなあ。


「それに、俺には花がいるし」

「え?」

「テレビ消すよ?」 

 そう言うと、籐也君はリモコンでテレビを消して、私にキスをしてきた。


「ま、待って。私もお風呂…」

 私は一気にまた心臓がバクバクしてきて、慌てて着替えを出して、バスルームに入った。

 うわ。まだ、バクバクしてる。そう思いながら、洋服を脱いだ。


 そして鏡を見た。私、変わったのかな?自分ではわからない。ただ、不思議と肌が綺麗になった気がする。

「はあ…」

 胸の鼓動がおさまらない。でも、体を洗って髪を洗った。それから、体を拭いてバスローブを着て、髪を乾かした。


 ドキン。籐也君が部屋で待っているんだよね。

 ドキン。今日も籐也君に、私…。

 うわ。一気にまた顔が火照ってきた。


 でも、シャワーだけだし、体の方はあったまっていない。

 ドキドキしながら、バスルームを出た。すると部屋明かりが、さっきよりもぐっと落ちていて、ベッドの脇の電気だけがついていた。


「花…」

 籐也君が私を呼んだ。私は、籐也君の顔も見ることができず、うつむいたままベッドに腰掛けた。


「…震えてる?」

「あ、なんだか、あんまりあったまらなかったから」

「寒い?」

「ちょ、ちょっとだけ」


「じゃ、布団に入る?」

 そう言うと、籐也君はベッドから掛け布団を外した。ドキン。横になれってことだよね?

 私はベッドに寝っ転がった。籐也君は私の横に寝転がり、掛け布団をかけた。そして、私のバスローブを脱がしだした。


 うわ!恥ずかしい!

 籐也君も自分のバスローブを脱いで、それから私を抱きしめてきた。

 ドキドキ。心臓がドキドキしている。でも、籐也君の肌が、とてもあったかくって…。


「あったかい?」

「うん」

「もう寒くない?」

「うん」


 籐也君が、すっごく優しいよ~~~~!!!

 一気に籐也君の優しさと、あったかさに包まれていく。

 ああ、私、すっごく幸せだ。



 翌朝、籐也君の腕の中で目が覚めた。籐也君、ずっと私を抱きしめながら寝ていたのかな。

 スウ…。あ、籐也君、まだ寝てる。この前は、あまり眠れなかったって言っていたのに。


 籐也君の寝顔をしばらく見ていた。すると、籐也君が目を覚ました。

「花…。おはよ…」

「おはよう」

 籐也君の照れくさそうな顔…。なんだか、私も恥ずかしくなってきた。


「チェックアウトの時間まで、こうやって抱き合っていようか?」

「え?」

「ずっと、花のこと抱きしめたかったし」

「…」

 か~~~。顔が火照るよ…。


「今日、俺、1日オフだから、ずっと一緒にいようね」

「ずっといられるの?」

「うん。一緒にいられるよ」

「嬉しい」

 そう言うと、籐也君はまた、はにかんだ笑顔を見せた。


 その日、本当に籐也君と、ずっと一緒に居られた。夕飯を食べ終え、籐也君は私の家の近くまで車で送ってくれた。

「またね、花」

「今度はいつ会える?」


「……あさって」

「え?あさって?そ、そんなにすぐに会えるの?」

「うん。明日はごめん。家族で親戚の家に行くから」

「……じゃあ、あさってね?」

「うん。また電話する」


 嬉しい~~~。そんなにすぐに会えちゃうなんて!お正月っていい!

 ウキウキしながら私は、家に帰った。


 家では、姉がテレビを見ながら、母と話をしていた。

「あ、花、お帰り。どうだった?初詣。初日の出とかも見れたの?」

「あ、こ、混んでた」

「だろうね。どこまで行ってたの?」

「か、鎌倉」


「籐也君と?」

「ううん。友達と」

 うわ。嘘ばっかりついてる、私。お母さん、ごめんなさい。


「籐也君、昨日テレビ出てたよ」

「そ、そうなの?」

「今夜も出るみたい」

「え?!」


 私はテレビ欄を見た。

「あ、これだ。もうテレビでするんだ」

「なあに?」

「ううん。なんでもない。教えてくれてありがとう、お姉ちゃん」


 私は急いでお風呂に入り、それから自分の部屋のテレビの前に正座した。テレビはバイト代で買った。リビングではいつも誰かがいて、籐也君をうっとりと見ることもなかなかできず、思い切って買ってしまった。


 ドキドキ。あ、もう始まる!

 番組が始まった。歌を1曲歌ったあとに、メンバー紹介があり、それから質問が始まった。

「みんなのタイプの女性って?」

「え?タイプ?タイプは…」


 籐也君も他のメンバーも、黙り込んでしまい、司会者が慌てて、

「例えば、そうだ。花に例えたら?」

と聞いた。すると、潤一君がすかさず、

「あ、僕はチューリップとか、可愛い花かな」

とそう言った。

 これ、季実子ちゃん見てるのかな。


「チューリップ?潤一君、可愛いね。じゃ、晃君は?」

 司会の人がそう聞くと、晃さんは、

「やっぱ、撫子でしょう」

と答えた。


「なるほど。大和撫子ね。じゃ、晴樹君は?」

「僕は…、意外と刺があったりするバラとか?」

「うわあ。そうなんだ。じゃ、最後に籐也君は?」

「…雑草」


「え?」

 ああ、本当に雑草って言った。司会者もドン引きしてるよ。

 それから、びっくりした司会者は、なんで雑草なの?と聞いて、籐也君は恥ずかしそうに理由を言った。


「具体的なのね。そんな人がいたの?」

「中学の頃…、初恋の人が…」

 また、照れくさそうに籐也君が答えた。すると、籐也君が言っていたように、司会者が勝手に、同級生?とか、思いは届かなかった片思い?とか、言い出した。


「ああ、はい」

 籐也君は本当に面倒くさそうに、うなづいている。でも、顔だけは赤い。

「じゃ、もし今その子に会ったら、なんて言う?」

「え?」


「その頃の想いを、伝える気はないの?」

「あ、ああ。えっと…。そうだな。ありがとうって言いたいかな」

「ありがとう?」


「…なんか、いつも癒されていたから。元気ももらってたし」

「そうなんだ。もしかして、このテレビ見てるかもよ。その子に向かって一言言ってみる?」

「え?!」

「どうぞ」


「あ、でも、見てないと思うし」

「わかんないじゃない。言ってみたら?」

「……えっと~~」

 ああ、そうか。ここが恥ずかしいって言ってたところなのね。うん。私も、なんだか恥ずかしい。でも、聞きたい!


「あの頃は、どうも、ありがとう。雑草だなんて言って、申し訳ない…けど、名もないような一輪の『花』に、俺、いえ、僕は恋してました。はい…。うわ!なんか、これ、小っ恥ずかしい」

「あ、籐也君が照れてる。なんか、イメージ変わったかも」

 司会の人がそう言って笑った。


 他のメンバーはにやつきながら、籐也君を突っついたりしている。

「一輪の『花』ね」

 晃さんが、なぜかそこだけを強調して言った。

「うん、一輪の『花』に恋してたわけね」

 晴樹君までがそう言ってにやついた。


「ああ、いいから。すみません。次の質問に進めてください!」

 籐也君はそう言うと、顔を隠してしまった。

「籐也君が照れてます。こんなの初めて見たでしょ?フアンの子達も今頃、可愛いって騒いでるよ」

「……」

 籐也君はしばらく、うつむいたまま照れまくっていた。


 番組が終わると、携帯が鳴った。

「花?」

 あ、籐也君だ!

「今の見てないよね?」


「見た」

「あ~~~~~~~。なんで、見るんだよ」

「……」

「花?」

「う、嬉しかった」

「…まさか、泣いてる?」


「ううん。ちょっとだけしか泣いてない」

「泣いてるんだ…。ああ、もう。晃さんとか、やたらと『花』のところだけ、強調するから、俺、そんなつもりで言ったわけじゃないのに、なんか、すげえ恥ずかしくなっちゃって」

「うん」


「……。でも、そういうことですんで」

「え?」

 そういうこと?

「花に俺、ずっと恋してるから…。って、何を言わせるんだよ。と、とにかく、もう切るね。おやすみ!」

「おやすみなさい」


 電話を切った。でも、籐也君の声がずっと私の頭の中で木霊していた。

 ずっと恋してるから。

 嬉しい。嬉しいよ、籐也君!


 雑草って言われた時には傷ついた。だけど、名もない一輪の花に恋をしたって言ってくれたの、ものすごく嬉しい。

 籐也君、私はずっと、籐也君のそばで咲く、名もないような雑草でいるよ。薔薇じゃなくても、百合じゃなくてもいい。籐也君が疲れた時、落ち込んだ時、ふと見ると元気になるような、そんな花でいる。


 ずっとずっと、籐也君だけの、雑草でいる。

 

 嬉しすぎて、私はそんなことを書いてメールした。メールしてから、なんとなく我に返り、恥ずかしくなった。だけど、

>ありがとう。すごく嬉しい。花、愛してるよ。

というメールが、籐也君からすぐに送られてきた。


 はあ…。籐也君!大好き! 

 今日もまた私は、携帯電話を握り締め、幸せいっぱいで眠りについた。


                      ~おわり~





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ