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親友、限界です。  作者: アル治


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第1話  もう付き合え

新作よろしくお願い致します。

「黒瀬」

昼休み。

購買のパンを食べていた黒瀬の前に、陽向が座る。

珍しく真面目な顔。

嫌な予感しかしない。

「……なんだ」

陽向は少しだけ周りを気にしてから、小声で言った。

「どうしたら結菜って振り向くと思う?」

黒瀬の思考が止まる。

数秒。

完全に止まる。

「……は?」

聞き間違いかと思った。

だが陽向は真剣だった。

「いや、だから」

「結菜と付き合いたいんだけど」

黒瀬は静かにパンを置く。

そして、窓の外を見る。

空が青い。

今日も平和だ。

だが今、目の前に最大級の問題が発生した。

(こいつは何を言ってるんだ……?)

一方その頃。

別のクラス。

「白石〜」

結菜が机に突っ伏しながら唸っている。

「どうしたの?」

白石は穏やかに聞く。

だが内心は警戒していた。

この顔は厄介事の顔だ。

結菜は顔だけ上げる。

そして――

「陽向と付き合いたい……」

白石のシャーペンが折れた。

「……え?」

「でも脈ないんだよね……」

悲しそうに言う。

白石は思う。

(脈しかないわよ)

むしろ脈で殴られているレベルだ。

放課後。

陽向と結菜はいつも通り一緒に帰っていた。

並んで歩く。

距離が近い。

近すぎる。

「今日さ、部活見に行こうぜ」

「行く!」

即答。

嬉しそう。

その瞬間、後ろを歩いていた男子が呟く。

「……あれで付き合ってないの怖ぇよ」

「もう夫婦だろ」

完全にクラス公認だった。

「そういえばさ」

結菜がふと思い出したように言う。

「今日、男子に告白された」

陽向の足が止まる。

「……は?」

空気が変わる。

結菜は気づいていない。

「なんか優しいねって言われた!」

嬉しそう。

だが陽向は笑っていなかった。

「断ったのか?」

声が低い。

結菜がきょとんとする。

「断ったよ?」

「だって陽向いるし」

陽向の心臓が変な音を立てる。

だが結菜は続ける。

「陽向といる方が楽しいもん」

自然に言う。

悪気ゼロ。

破壊力だけ高い。

その少し後ろ。

黒瀬が頭を抱えていた。

(なんで付き合ってないんだよ……)

理解不能。

理論崩壊。

さらに別方向。

白石も遠くから見ていた。

(もう告白しなさいよ……)

限界だった。

「なあ結菜」

陽向が少しだけ視線を逸らしながら言う。

「もしさ」

「ん?」

「俺が付き合ってって言ったらどうする?」

結菜は一瞬止まる。

顔が赤い。

でも次の瞬間。

「陽向ってそういう冗談言うよね〜」

笑った。

陽向も笑う。

「だよな〜」

違う。

全然違う。

だが2人とも逃げた。

後方。

黒瀬と白石。

別々の場所で、まったく同じ顔をしていた。

「……お前らほんとダメだろ」

「……ほんとに限界なんだけど」

この日。

2人は決意する。


読んでいただきありがとうございます。

楽しんでもらえたのなら幸いです。

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