第12章 油断大敵
同時刻 廃墟地
美咲は鋭く、不気味な目つきでルーを見つめていた。
そして、そのままゆっくりと歩き出す。
「美咲……?」
「隊長! 離れてください!」
アナベルが叫ぶ。
「先ほどから彼女の真源の量が今までと桁違いです……! 私もこんなものは見たことがない……!」
「彼女の能力が暴走しているというのか?」
「……いえ。どちらかというと、“能力に飲まれている”ように見えます」
ルーが険しい表情を浮かべる。
「どうすれば止められる……。今の彼女は話を聞ける状態じゃない……」
その時、美咲がゆっくりと二人へ手を向けた。
「……!!」
「何か来るぞ!」
次の瞬間、美咲の掌から赤い粒子が放たれる。
二人は咄嗟に飛び退いた。
粒子が直撃した瓦礫には、大きな穴が空いている。
「まずいぞ……!」
「近づこうにも簡単には…って、カイトくん!?」
背中に傷を負ったカイトが、ふらつきながら立ち上がっていた。
今にも倒れそうな足取りで、美咲へ近づいていく。
「美咲……!」
カイトが苦しそうに声を絞り出す。
「あの人の妹……助けるんだろ……?」
美咲は反応しない。
「こんなところで……こんなことしてる場合かよ……!」
カイトは震える手で、美咲の肩に触れた。
すると
美咲の背中に広がっていた羽のようなオーラが、少しずつ崩れていく。
同時に、黒く染まっていた瞳も元の赤色へ戻っていった。
「あれ……私……」
その瞬間。
カイトの身体から力が抜ける。
「カイト……!?」
カイトはそのまま倒れ込み、意識を失った……
「……ん……」
カイトがゆっくり目を開ける。
気づけば、車の中だった。
「カイト! 大丈夫?」
隣には美咲が座っている。
「まぁ……少し痛いけどね」
カイトは苦笑する。
「……あの後、何があったの?」
「あのあと、近くの基地から車とお医者さんが来てくれてね。カイトを診てくれたんだ」
美咲が少し安心したように笑う。
「とりあえず軽傷でよかったって」
「……そっか」
カイトは窓の外へ目を向けた。
しばらく沈黙が続く。
「……カイト」
美咲が遠慮がちに声をかける。
「ん?」
「ありがとね」
「……え? 何が?」
「さっきの戦い」
美咲は少し俯きながら続ける。
「最後の方、途中から記憶がなくて……。でも、私が気づいた時、目の前にカイトがいたから」
小さく笑う。
「たぶん、助けてくれたんでしょ?」
「あー……」
カイトは目を丸くし少しした後再び窓の外を見た。
「……まぁ、どういたしまして」
その返事を聞き、美咲は少しだけ安心したように笑った。




