川探し
食事をした後、夜中に腹痛で目を覚ますという事はなく、この世界に来てから一番体が軽い。
食事の大切さを実感しこれからはちゃんとした食事をしていこうと胸に誓った。
誓ったはいいが、保存場所がないため毎日取りに行かなくてはならない、そして、昨日収穫した野菜から搾り取った水は今まで飲んだものの中で一番苦かった。
だから、どこかで飲み水を確保しないといけない。
ここに街がある以上、どこかに水路があったとは思うが、この街にある四つの門のうちどこかが川へ行く場所なのか、それとも別の道がるのかは定かではない。
それでも、すぐに見つけないとここで暮らしていくには不便すぎる。
いつ雨が降るかもわからないから。
出来れば、川からこの街の近くまで水路を繋げられればいいんだけど。
距離によっては死ぬまでかかりそうだ。
他の仲間とか道具とかがあればもっと早く出来るだろうけど、川までの距離と立地の問題もあるから考えるだけ無駄だろうけど。
まあ、まずは朝ご飯でも……
昨日の夜採った野菜の余りを焼いて食べ、水探しに出かける。
まずは、この街に入るときに使った門から出て道なりに進む。
正解かハズレか分からないが進み続け、道中食べられそうなものは拾う。
そうやっているうちに、木が少なくなり、ついに草原に出た。
目に見える範囲では何も見えない。
ただ、草が生えているだけの場所。
動物がいるわけでもない、その上道もなくなっている。
長い間放置されていたことで、草が生えてしまったのだろう。
道がない以上、進みようがないと判断し、現地点でのハズレ道と門のどこかに印でもつけておかないと。
と思いながら、来た道を引き返していく。
道中、空腹で度々腹が鳴るが外に出ている今、火を起こすことすらできない。
故に、食事をするためには、拠点まで帰る必要があるのだ。
新しく拾った木の実やキノコなどもあるから、昨日の夜よりは豪華になる予定……
豪華になったところで、基本野菜系になるのは避けられないが。
それに、採ったものは基本1日経つ前に食べないといけないので、必然的に量が多くなる。
あまり食欲が無くても食べなければならないため一種の地獄ともいえる。
食料を保存するための道具か何かを作らないと毎日食べ物を取りにいかないといけない上に、採ったものは翌朝には無くなるという生活を一生……
不便にも程があるとこの世界の神か何かに文句を言いたい。
考え事をしているうちにいつの間にか門の前まで来ていた。
ただ、出発したとき閉めたはずの扉が開いている。
気のせいなのか、ただ単に風で……
いや、この錆びた扉は風で開くような軽さではない。
つまり、僕の気のせいではなければ、誰かが居る可能性がある。
最も、既に出て行ったあとの可能性もあるが。
誰かがいた場合、言葉が通じるのか、そもそも話をしてくれる相手なのか。
それが問題になってくる。
一方的に斬りかかって来るような戦闘狂やバカではないことを願いつつ、街の中へと入った。