晴れた日は
日曜の朝。朝日がカーテンの隙間から優しく差し込み、小鳥たちのさえずりが心地好いベッドの中。穏やかな一日はそうして静かに始まろうとしていた。が、同時にそんな麗らかな光景をぶち壊すような悪魔も刻一刻とその仕事の時間を待っていたのだ。
およそ十秒を数えた後、その爆音はいつもより遅くその部屋に響きまくった。
部屋中でアブラゼミが鳴いているような、下手をすると気分が悪くなるのではないかと思わせる爆音を発する目覚まし時計。おかしいな、寝る前は確か頭の方にあったのに……ってうっさいわボケェ! 力一杯蹴とばして私はそれを止めた。そして、そのまま上半身だけ起床。腰から下には布団はかけたままで、暫しの間ぼーっとしていた。
そのまま多分十五分程、一向に目覚めを実感しないまま、もしくは再び眠りの世界に舞い戻りながら、時間だけがゆったりと流れていった。私が怠かな訳ではない。日曜と言う日と、布団と言う魔道具が悪いのだ、きっと。うん、きっと。
こんな事を考えて……あ、目覚めてる。考えてるって事は目覚めてるよ。いつ目覚めたんだろ? ま、いいか、どうでも。
と、こんな事を考えていた時、ふと、まるで糸に引っ張られるかのようにして私は壁にかかるカレンダーの方を見た。
ん? なんか滅茶苦茶強調してある日がある……『映画館』……何のことかな?
分からない事だらけの、まとまらない、回らない、ぼやけた思考。でもそれを見ているうちに、カレンダーに印されたその赤丸を見ているうちに、私の頭の中は妙にはっきりしてきて、同時に何故か冷や汗が、すっごく大切な事を忘れているような不安がじわじわと滲み始めてきていた。
『映画館』……確か誰かと行くつもりで……そう、緑だ。ずっと見たいって言ってた。……つまりあれは緑と映画を見に行こうって予定な訳で、その予定日って言うのがつまりは……
「今日なんじゃない!」
思わず声をあげると、私は布団を撥ね飛ばして起床。すぐさま身支度を始めた。途中床に散らばったビールの空き缶を何本か吹っ飛ばしながら、外出の準備をしていく。
「あ〜〜〜〜〜っ、もう! 何で忘れてたのよ、このバカっ!」
急いで服を着替ながら私は自分にダメ出しをした。いくら昨日彼氏にフラれて自棄酒したからって、こんな大切な事、忘れてちゃ駄目だろ!
しばらくバタバタした後、私はトーストをかじりながらアパートのドアを開けた。旧友との久しぶりの再会に自然と笑顔になりながら。青空に輝く太陽は私の頬を優しく撫でていた。




