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セカイのミカタ

「世界は真っ暗なんだ。世の中は偽善と上辺だけの友情ばかりなんだ。望む夢も抱く希望も、何にもない。何も進展がないんだ。つまらないんだよ、基本的に。

 なあ、本気で伝えたいことを伝えあえる友人がいるか? 嫌なとこを面と向かって嫌と言える恋人がいるか? いないだろ。なあ、いないだろ? ……いないんだよそんな奴はよ。

 ……みんな一人なんだ。どこにいても、孤独で寂しくて怖くて……。だからみんなに合わせるんだ。嘘の表情と言葉を並べて、みんなと一緒になって、安心して……。でも、どこかでいつも除け者にならないようにびくびくしてる。嫌われないように気を使ってるんだ。

 だけどなぁ、俺ぁ嫌なんだよ、そんな人生。誰とでも真剣に向き合いたいんだ。びくびくして、相手の表情を伺って、気に触らないように、嫌われないように付き合って行くのは嫌なんだよ。言いたいことを、感じたまま言い合う。それが本当の付き合いじゃないのか? それが大切なんじゃないのかよ!

 ……でもなぁ、そんな生き方したら社会から弾き出されちまうんだ。あいつはおかしい。異常だ。気味悪いって。本気になって、ありのままをぶつけるのは、結構大変なのに。俺は本気に向き合っていくのに、相手は軽く受け流すんだ。

 そういやぁ、こないだ娘に言われたよ。父さんうざいって……どっか消えてって……。昔はあんな子じゃなかったのになぁ。何かと俺に抱きついてきてよ。仕事の邪魔だから離れてろって、あとで遊んでやるからって、何度も何度も言い聞かせるのに、懲りずに抱きついてきてさ。可愛かったなぁ、あの頃は。本当に目に入れても痛くなかったんだ。

 でも、それもいつの間にかあんな娘になっちまって……。なんだかチャラチャラした男と付き合ってるしよぅ……。こんな男のどこが良いんだ、へらへらして、誠実さの欠片もないじゃないかって、今すぐ別れろってその男の前で怒鳴ったらよ、死んじゃえ、だってよ。面と向かって、真っ赤な目で叫ばれちまった……。

 なあ、俺がおかしいのか? 本気で向き合うことは駄目なのかよ? ああ……チクショウ……! もう何も……何も分かんねぇよ……!」

 デスクに突っ伏して泣き始めた元上司を、この頃頭が妙に薄くなってきていたこの解雇者を優しい声で慰めながら、早く家に帰って空腹を満たしたいと思う私だった。

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