四人で過ごした夏
6月28日
朝、窓辺の太陽がそっと空へ昇っていく。
でも今日は、その光よりも早く、私はもう机の前に座っていた。
静かにペンを握る。
もうすぐ期末試験週間。
一つの季節が、もうすぐ終わろうとしていた。
机の端には、一枚の写真がフォトフレームの中で静かに微笑んでいる。
四人で撮った、大切な一枚。
この季節も、もう終わるんだね。
寮の決まりだから、私たち四人がこうして同じ部屋で眠れるのも、あとほんの数日だけになってしまった。
……
お昼ご飯は、入学したばかりの頃みたいに、四人で丸くテーブルを囲んだ。
小野ちゃんは笑いながら、自分のおかずをそっと私のお皿へ乗せてくれる。
鈴木ちゃんと井上ちゃんは、今日もいつも通り。
楽しそうにおしゃべりをしながら、ご飯を食べていた。
「鈴木ちゃん、卒業したらどこで働くか決めたの?」
井上ちゃんが尋ねる。
「たぶん家で決めてくれるかな。井上ちゃんは?」
「まだ分からない。でも、いつか絵を描く仕事ができたら、それだけで十分かな」
午後の風が、そっと頬を撫でていく。
木々の上では蝉が元気よく鳴いていた。
吹き抜ける風は、少しだけ涼しい。
私たちは肩を並べて、ゆっくりキャンパスを歩いた。
誰も急がない。
誰も何も言わない。
それでも、その静かな時間が、とても心地よかった。
……
夜は、いつものお店へ向かった。
今日も私は、いつものとんかつ定食を頼む。
何度も食べた、この味。
きっと、しばらく食べられなくなるんだろうな。
そんなことを思いながら、ゆっくり箸を動かした。
……
夜になって。
私たちは初めて、四人分の布団を床いっぱいに並べて眠ることにした。
布団越しの床は、ひんやりと冷たい。
「小野ちゃん、鈴木ちゃん、井上ちゃん……」
私は真ん中で、小さく体を丸める。
小野ちゃんは何も言わずに私を抱き寄せ、背中をぽん、ぽん、と優しく叩いてくれた。
そのたびに、胸の奥へしまっていた気持ちが、少しずつ溢れそうになる。
私は小野ちゃんの胸へ顔を埋めて、ぎゅっと目を閉じた。
この季節が終われば、
きっと今までと同じ毎日は、もう戻ってこない。
そう思った瞬間、
胸の奥で何かが、小さく音を立てた気がした。
……
離れたくない。
まだ、みんなと一緒にいたい。
離れたく、ない。




