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8.殺意まみれのエピローグ②

「それだけはしないよ。だからウェルが私以外の誰かを殺すのも許さない。妬けちゃうからね」


 ザルハッシュ殿下は私の両手に自らの手を重ねると、ゆっくりと下ろさせる。


 私が直接お顔に触れたのは、不敬だと思ったのかしら? それとも令嬢が異性に触れるのは、はしたない?


「それなら今すぐ婚約を解消して。そうすれば今より私に危害を与えようとする人は減るはずよ」


 なんて考えていれば、ザルハッシュ殿下は私の手を自らの口元に運んで口づける。


 やだ、不愉快。特に熱を孕んだその瞳を私に向けられると、抉り出したくなってしまう。


 微笑みを崩さないまま、自分の手をザルハッシュ殿下から遠ざけようと試みる。


 やだ、手を離してくれない。眉根が寄りそうになるのを、鋼の精神で抑える。


 疲れてきたわ。


「私は殺したいと思う事も、殺す事も躊躇しない。けれど本当に望んでいる事は、冤罪ではなく、今度こそ本当の罪で処される事……」

「今世のウェルがそう思うのは、前世と今世の私の責任だ」


 今度は、私が話し終える事すら邪魔されてしまう。不愉快さに、どんどん拍車がかかってくる。


【昇爵したばかりの侯爵家令嬢にして、婚約者でもあるウェルミナ=ゴルレフが王太子を殺害】


 だからよ。思わずそんなフレーズが頭に浮かんでしまったわ。


 けれど、素敵な言葉ね。牢獄でそんな見出しの新聞を目にしたら、歓喜に震えそう。


「だからね、ウェル……ウェル? ウェルミナ、聞いてる?」


 凛々しいお顔が、ふわりと優しく微笑んで私を覗きこんでくる。


「なあに? 妄想を楽しんでいたのに、また邪魔するのね」

「ふうん……ふふ。私の事で楽しんでいたみたいだね」

「相変わらず私の感情を的確に読むのね」

「私はね、ウェルの殺意に満ちた今世で、一生をかけてウェルに愛を囁くって決めてあるんだよ。だからウェルが他の人間を殺して、私から逃げないように一生をかけて邪魔するんだ」


 ……駄目ね。私の要望は通らないみたい。


 それどころか随分と狂気じみた執着が、ザルハッシュ殿下から漂うのを感じるわ。


 私は魔法が使える。けれどザルハッシュ殿下は私以上の魔法の使い手。


 そんなザルハッシュ殿下の目を欺き、私が私の殺意を殺人へと昇華し、裁かれる……ああ、考えただけで気分が高揚する!


「ふふ。ウェルが楽しそうで何よりだ」

「そう? まあ、私は自分が楽しければ何でもいいわ」


お互いの本心はどうであれ、微笑み合う私達2人を見る人がいれば、きっとお似合いだと言ってくれるのしょうね。


 私達の攻防戦は、ザルハッシュ殿下が私を妃にするのを諦めるまで続くのかしら?


 それとも、もしかすると私が死ぬまで続くのかもしれない。

ご覧いただき、ありがとうございます。

そのうちもっと長編にしようと考えてますが、ひとまずこれにえ完結。


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