表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凪の歌  作者: 仙葉康大
第五章
41/52

緊張

 校内歌劇コンクール当日、体育館に、下級生四十名、上級生四十名、講師二十名の計百人が集まっていた。パイプ椅子に座っている。


「あの子たちよ」

「下級生の分際で」

「どうせろくな劇、できやしないわよ。笑ってやりましょう」


 本番前にいざこざはごめんなので、私と熱美は常に果矢と怜夏の口を塞いで、抽選が始まるのを待った。


 抽選の結果、私達の劇の順番は七グループ中、最初から数えて四番目となった。澪先輩と樹理先輩はトリの前、最後から二番目だ。


 体育館の照明がゆっくり消えて行く。カーテンも閉め切っているので真っ暗になる。


「グループ名『トリプルトリオ』。演目『白雪姫』」


 アナウンスがあった。劇が始まる。


「演劇はつまり()ハケの繰り返しだ」


 授業で、凛さんはそんなことを言っていたっけ。出ハケの出はステージへ出ることで、ハケはハケル、すなわち袖に消えることだ。


 上手や下手から出てきた役者が、ステージでしゃべり、歌い、踊り、上手か下手のどちらかに消えて行く。


 『トリプルトリオ』の上級生たちは、落ち着いた様子で劇を進めていく。


 スポットライトの中で白雪姫が歌っている。イメージは森、かな? 何だかぼやけたイメージだ。でも、声がきれい。


 魔女役の人が下手袖から登場した。上手い。腰の曲がり具合や、声音や手の震えが効いている。やっぱり一年間先に学んできただけのことはある。


 二番目のグループの劇はダンスシーン多めだった。ダンスが得意な人達でグループを作ったのかもしれない。大勢で踊ることを群舞(ぐんぶ)というが、上級生の群舞は見事に揃っていた。つま先や手先の向きと角度、ターンのタイミング、足を上げる高さ。ポイントが揃っているから、全部揃っているように見えるんだ。勉強になる。


 本番一時間前には体育館を抜け出して教室へ行き、柔軟運動や発声練習をした。


 怜夏は台本を開いて閉じてを繰り返している。果矢は教室内の同じところを歩き回っている。私は十秒おきに時計を確認してた。


「みんな、緊張してるん?」


 熱美が言った。


「してません」

「してねーよ」

「すごくしてる」

「大丈夫やって。あれだけ練習したんやから、上手くいくいく。練習通りやればええねん。練習仕切ってきたウチが保証する。今日は絶対うまくいくで」


 熱美の言う通りだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ