The Giving Tree おおきな木 12-3 (最終話)
12-3.
まぐろっていう単語も忘れないよう吹き込んでいた。
一度聞いただけで、元の記憶を忘れない為の手立てを何も
うっていなければ、きっと私は全て忘れていたことだろう。
幼心にこの男は絶対許さないと誓ったのだ。
生きて大人になれたなら、そう思って生きてきた。
森下くんはモテるから結婚しないと言って未だ独身を貫いている。
この15年間の女性関係のことは知らないし、知る必要もない。
あの人は独身なのだから。
だけど母や私たちの前で他の女の影を見せたことは一度もない。
そういうところが森下くんの美点だと思う。
結婚してもしなくても私の心の父だし、母ともこの先ずっと
仲良しなら、それでいいと思ってる。
私は5月5日5才だったあの日を思い出す度に涙するのだ。
森下くんの腕の中で泣いている母の姿を見て、それまで遊んでいた
私と秀人は急いでふたりに駆け寄った。
頼れる大きな木に掴まっていつまでも私達は泣いた。
もし、巨木がいつの日か倒れそうになるような時が来たら
全力でわたしたちは支えるだろう!!!
☆-★-☆ おしまい ☆-★-☆
この度は(も)最後までお付き合いいただき
ありがとうございした。
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