表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/50

35.後悔(クリストファー王太子殿下視点)

セルヴィと両思いになり、6年が経った。

セルヴィは僕の婚約者で3年かけて両想いになり、浮かれていたし、安心しきっていた。

以前よりも甘えて来てくれるセルヴィを可愛いとすら思っていた。


人の心が変わるという事をすっかり忘れていた。

僕はセルヴィに出会ってから、セルヴィだけだったから。

たまにしか会えない婚約者から気持ちが離れる事があるだなんて、考えもしなかった自分自身に後悔した。


僕はセルヴィと両想いになれた事に満足して、しっかりとセルヴィ自身を見れていなかった。

セルヴィを大切にはしていたけど、もっとセルヴィ自身を見ていればもっと早くに気づけたのではないか。


セルヴィが1人で悩んでいたのにも気づかずに、僕は1人で浮かれていた。

セルヴィは婚約者として精一杯努力して、婚約者に相応しい行動をしてくれているのも知っている。

でも、彼女自身の心はどうだろう。


僕はセルヴィじゃなければダメだけど、セルヴィは僕でなくても良かったんだ。


いつも友人としてセルヴィの側にいて彼女を支えるリチャード王太子とイーサン殿下に嫉妬しつつも、いい虫除けだとすら思っていた自分への罰だろうか。


僕が17歳、セルヴィが15歳の冬休み、僕はとても浮かれていた。

あと4ヶ月したらセルヴィとずっと一緒にいられる。

セルヴィの事になると冷静になれない。


きっかけは些細な違和感。

なんとなくおかしい。

なぜ僕に悲しそうに笑いかけるの?

今まで通りセルヴィが笑っているはずなのに、何かが違う。

必死になって僕に甘えようとするのはなぜ?


今まで気づかなかったセルヴィの気持ちに気づいてしまった瞬間、血の気が引いた。

このまま気づかないままの方が、幸せだったとすら思ったが、気づいた瞬間に我を忘れた。

我を忘れたのは生まれて初めてのことで、夢中でセルヴィに激しいキスをしていた。

今まで触れるだけのキスしかした事がなかったのに、自分を抑えきれなかった。

「クリッ…んっ…」

セルヴィの苦しそうにたまに漏れる声すらも僕を煽る。

セルヴィがたまらず崩れ落ちそうになり、僕はセルヴィを抱き抱えて近くのソファへセルヴィを押し倒した。


「このまま返したくない。セルヴィは僕のものだ。誰にも渡さない。」

セルヴィが自分のものだと自分に言い聞かせるように呟きながら、夢中でキスをする。

でも、セルヴィが泣いているのに気づいて、我に返った。


僕はセルヴィに何をしようとしたんだろう。

一気に冷静になり、セルヴィを誰よりも大切にしたいはずなのに、傷つけようとしていた。


「ごめん。」

とセルヴィを優しく抱きしめたけど、セルヴィは泣き続けた。

怖がらせてごめん。

セルヴィの気持ちに気づかなくてごめん。

僕は生まれて初めて心から後悔というものをした。


セルヴィの事を信じているけど、セルヴィは1人で悩んでいたんだろう。


「僕が愛するのはセルヴィだけなんだ。ずっとセルヴィだけを思っているんだ。」

「私もクリス様を愛しています。」

と抱きしめ返してくれた。


僕は「愛してる」と何度も言って、彼女も「私も愛しています」と何度も言った。

どうしてそんな、切なそうに僕に愛してると言うの?

どうして愛していると言いながら泣いているの?


セルヴィの顔を見たら、セルヴィの頬に涙が落ちる。

僕は泣いているようだ。

物心がついてから泣いたのは初めての経験で、またセルヴィを抱きしめて2人で泣きながら抱きしめ合った。


僕に愛してると言いながら、セルヴィは誰を想っているの?

でも、セルヴィが誰を想っていたとしても、僕は絶対に離してはあげられない。

もう一度セルヴィの心を手に入れてみせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ