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34.あっという間に15歳と離れる心

セルヴィアが15歳になり、16歳の誕生日にエンドラ王国でクリストファー王太子と結婚する事が決まっていた。

来年の春には学園の中等部も卒業。

リチャード王太子殿下は高等部に通っている。

テストで学年1位はセルヴィア、2位がイーサン殿下も一度も変わっていないし、夏休みと冬休みはエンドラ王国に滞在、春休みはクリス様が来る事も変わらない。

長期休暇中は、クリス様の婚約者として一緒に視察を行うことも多かった。


4年前にマーガレット王女殿下は結婚し、昨年は第一王子が生まれた。

結婚式のマーガレット王女殿下は美しくて、マーガレット王女のような結婚式に憧れた。

会う機会は無いが、手紙のやり取りでマーガレット王女殿下の幸せそうな様子が伝わって来て嬉しかった。


ダルヴァール家の事業はとても好調で、製糸場だけではなく、造船工場など他の工場も作り、セルシア王国とエンドラ王国全体の更なる発展に寄与していた。

私も両親と一緒に仕事をする事により、多くのことを学び、貢献することができた。

私の発案でダルヴァール領内に庶民が自由に利用できる図書館を建設したり、エンドラ王国とセルシア王国で慈善事業にも力を注ぐようになり、医薬品の開発なども行われ、医療分野、教育分野でも活躍を始めている。

その功績と、セルヴィアの美しさから、女神のような公爵令嬢と呼ばれるようになっていた。


イーサン殿下とリチャード王太子殿下とは、友人の関係を続けているが、愛おしそうに見つめられるとドキドキしてしまう。

クリス様がいなくても、イーサン殿下とリチャード王太子殿下がいるから寂しく無い。


もちろんクリス様に恋をしていて、会えると嬉しくて、抱きしめたりキスをするのもクリス様だけだが、長期休暇でしか会えないクリス様といられる時間は少ない。


この6年間でセルヴィアの気持ちも変化していた。

私は6年間クリス様に会えない寂しさをイーサン殿下とリチャード王太子殿下で埋め続けた。

2人といれば寂しくなかった。


ずっと側にいるイーサン殿下とリチャード王太子殿下に友人以上の感情を自分が抱いてしまっていて、離れるのが寂しいと思ってしまっている気持ちに必死に気づかないフリをした。

そんな自分が嫌だったし、クリス様に会った時は今まで以上に甘えた。


クリス様は変わらず、私の事を愛して、大切に扱ってくれる。

クリス様の婚約者として正しい行動をしているはずなのに、自分の心の中の感情で罪悪感でいっぱいだった。


大丈夫、態度には出ていないはず。

私はクリス様を愛している。

愛しているのはクリス様だけ。


でも、私のそんな気持ちは、聡明な3人の王子には気づかれてしまったのだ。


15歳の冬休み、今まで優しいクリス様が初めて激しいキスをして来た。

今までしたことのある触れるだけのキスとは全く違うものだった。

こんなキスを私は知らない。

体の中心が疼くような初めての不思議な感覚。

「クリッ…んっ…」

息をするのが精一杯で崩れ落ちそうになると、抱き抱えられてソファーに押し倒された

「このまま返したくない。セルヴィは僕のものだ。誰にも渡さない。」

傷ついた顔をしながら、激しく求められて、私の気持ちに気づかれてしまったのだと悟って泣いた。

私には泣く資格なんて無い。


それなのに、クリス様は、「ごめん」と優しく抱きしめてくれた。

謝らなくてはいけないのは私の方なのに。

クリス様を傷つけたのは私の方だ。

私には謝る資格すらない。


「僕が愛するのはセルヴィだけなんだ。ずっとセルヴィだけを思っているんだ。」

と優しく抱きしめられながら言われて、

「私もクリス様を愛しています。」

と抱きしめ返す。


クリス様は私に「愛してる」と何度もいい、私も「私も愛してます。」と何度も言った。

でも、自分の心の中はぐちゃぐちゃで、私は泣き止む事が出来なかった。


ふと、私の頬に雫が落ちて、クリス様は泣いていた。

初めて見た涙に更に切ない気持ちになった。

2人でしばらく泣きながら抱きしめあった。

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