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33.最大のライバル(リチャード王太子殿下視点)

クリストファー王太子が留学してきて、セルヴィア嬢の側には常にクリストファー王太子がいるようになった。

全く付け入る隙を与えない男だ。

僕と弟のイーサンは、婚約者がいるセルヴィア嬢に友人とでしか接する事ができないのに、彼はセルヴィア嬢に婚約者として接する事ができる。

完璧に王太子として相応しい態度をしているが、セルヴィア嬢を見る目は甘く、セルヴィア嬢が嬉しそうに微笑むものだから、嫉妬でどうにかなりそうだ。


せめて他のことで彼に勝って、セルヴィア嬢にこちらを振り向いて欲しいと必死に努力しても、テストでもスポーツでも彼は一位で僕は二位。

幼い頃から優秀で敵無しだった僕は心底驚いた。

彼は美しい殻を被った化け物だ。

他国の人間が、我が国のテストで一位を取り続けるなんて、人間とは思えない。


完璧なセルヴィア嬢には完璧な王子様が相応しいのだろうか。

僕も完璧な王子様と言われ続けて来たのに、彼にだけは勝てない。


負けない。

絶対にセルヴィア嬢を手に入れると決意して、ダンスで告白もしたのに…弱気になってしまう。

それでも僕は諦めない。

ずっと諦めなければ、いつかチャンスがあるはずだ。


そして、クリストファー王太子の1年間の留学が終わり、僕は6年生になった。

心底ほっとしたし、これでセルヴィア嬢と近づけると思ったのに、セルヴィア嬢に避けられている。

婚約者がいる令嬢として当たり前のことだろうが、悲しい。

セルヴィア嬢には常に近くにご令嬢がいて、パーティーですら、セルヴィア嬢の弟のカイルの側を離れない。

せめてパーティーのダンスで愛を囁くが、好意を伝える程に避けられている気がする。

愛を囁いている間は、セルヴィア嬢が僕にドキドキしてるのが伝わって来て、嬉しくてついつい貪欲になってしまう。


何より悔しいのが、クリストファー王太子が帰国して、明らかにセルヴィア嬢が落ち込んでいることだ。

寂しそうにしている姿を見ると胸が締め付けられる。


そんなある日、パーティーに参加していると、弟のイーサンにエスコートされるセルヴィア嬢を見つけて、とても驚いた。

弟も僕と同じで彼女に距離を置かれていたはずなのにショックを受けたが、理由を聞いて悔しいが納得した。

僕が先に気づければ、パーティーの彼女のパートナーになれただろうに。


今度から僕たちを頼るから、セルヴィア嬢の事も頼るように言われて、驚いたけど嬉しかった。

久しぶりに彼女の心からの笑顔を見て、幸せだった。


それからはクリストファー王太子が留学に来る前のようにセルヴィア嬢も僕たちに接してくれて、パーティーのパートナーにもなれるようになり、恋人になろうとして避けられるよりは、友人として側にいられる方がいいと思うようになった。

弟のイーサンも同じみたいで、友人としてセルヴィア嬢の近くにいる事を選んだようだ。


ただ、ずっと側にいて、少しでも隙があればセルヴィア嬢を手に入れたい。


クリストファー王太子が帰国してからは、僕がテストで学年一位に戻り、スポーツでも勉強でも負け無しだった。

クリストファー王太子以外に負けたとは無い。

セルヴィア嬢の婚約者が彼でなければ良かったのに。

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