22.3年生春休み(イーサン殿下視点)
ついに春休み、エンドラ王国からクリストファー王太子が謁見の間にやってきた。
ずっとどんな男性か気になっていたけど、初めて見るクリストファー王太子は驚くほど美しい顔をした10歳の少年だった。
堂々とした完璧な所作。
セルシア王国の言葉も、マナーも完璧にマスターしている。
美しすぎて冷たく感じるが、既に絶対的王者としての風格がある。
この男がセルヴィア嬢の婚約者。
最後に一瞬だけ目が合って、去っていった。
明日は歓迎のパーティーだ。
僕が初めて出るパーティー。
セルヴィア嬢をエスコートするのは婚約者である彼なのだろうと思うと憂鬱だ。
そして、パーティー当日、多くの家族が集まる中、王族のみが使う出入り口から、父上、母上、姉上、兄上に続き出て、皆に挨拶をした。
練習はたくさんしたし、完璧にできたと思う。
ふと、セルヴィア嬢と目が合って、僕に微笑んでくれた。
その隣には…クリストファー王太子。
父上がクリストファー王太子を呼び、皆に紹介して、セルヴィア嬢とクリストファー王太子のファーストダンスが始まった。
2人の息ぴったりのセルシア王国風のダンスは完璧で、神々しいくらいに美しい少年と天使のような美しい少女に皆が見惚れていた。
完璧な2人が微笑み合う姿はつけ入る隙がない。
セルヴィア嬢のドキドキしたような表情初めて見た。
一気に気分が悪くなりそうだった。
クリストファー王太子は皆に見せつけているのだと悟った。
クリストファー王太子に愛を囁かれて、ときめかない女性などいないだろう。
もしかして、もうセルヴィア嬢は王太子が好きになっているのではないか。
去年の夏に恋心は無かったとしても今は分からない。
気持ちばかり焦る。
クリストファー王太子は絶対に欲しい物を手に入れる、王族の顔だ。
僕も王族だ、負けたくない。
僕はファーストダンスが終わると同時にセルヴィア嬢へ歩み寄った。




