21.3年生3学期(イーサン殿下視点)
3学期も始まり、またセルヴィア嬢と学園で毎日会えるようになった。
みんなは長期休みを喜ぶけど、僕はセルヴィア嬢に会えないから長期休みは嫌いだ。
しかも、セルヴィア嬢はエンドラ王国の王太子と婚約をしていて、長期休みは婚約者と過ごすんだ。
長期休みなんて無くなって欲しいとすら、思ってしまう。
僕がセルヴィア嬢の婚約者だったら、好きになってもらえるようにアプローチもできるだろうけど、彼女には婚約者がいるんだ。
婚約者がいる異性にアプローチをするのは良くないことだと言われている。
まして相手は世界一の大国の王太子。
でも、一緒にいればいるほど、セルヴィア嬢を諦めきれない。
セルヴィア嬢に、恋愛として好きと伝えたら、どう反応するんだろう。
もしも、友達として一緒にいることすら出来なくなってしまったらと考えると、怖くて何もできない。
去年の夏の様子だと、セルヴィア嬢にはクリストファー王太子殿下への恋心は無い様子だった。
でも、婚約者と過ごす間にセルヴィアが恋をしてしまったら?
セルヴィアがエンドラ王国に行く度に、クリストファー王太子殿下と一緒に選んだお土産を買って来てくれるのが地味に傷つく。
今の状況よりも当たって砕ける覚悟で告白してしまおうか。
そして、気になるのは兄のリチャード王太子だ。
あれは絶対にセルヴィア嬢の事が好きだ。
あんな兄上を初めて見たし、毎日のように僕のクラスに来て、マーガレット王女のお茶会の度に来て、セルヴィア嬢と楽しそうに語らう姿に嫉妬してしまう。
セルヴィア嬢もマーガレット王女を姉、リチャード王太子を兄のように慕っている様子で楽しそうに話すんだ。
僕とも楽しそうに話してくれるけど、僕とだけ話していて欲しいくらい。
ただでさえ、セルヴィア嬢は学年一の人気者で、たくさんの令嬢といつもおしゃべりしてるのに、僕ももっと話をしたい。
それでも、セルヴィア嬢の親友のフローラ嬢の次に、僕と会話している事が多いから、僕はそれが嬉しいんだ。
他の男子は僕が牽制しているからセルヴィア嬢には必要な時以外は滅多に話しかけられない。
兄上も一緒になって牽制しているから、二重の守りだ。
でも、僕の牽制は兄上には効かないし、兄上の牽制は僕には効かない。
兄上も父上からセルヴィア嬢の婚約は、セルヴィア嬢が婚約破棄を望んだらできるという話を聞いたらしく、遠慮がない。
こんなに2人の王子から好かれているのに、セルヴィア嬢鈍感すぎない?
そんなところも可愛いけど。
婚約者がいる異性にアプローチはダメだけど、友達になるのは大丈夫だ。
でも、このまま友達でいてもセルヴィア嬢に好きになってもらえる自信がない。
そんな事を考えていたら、夕食時に父上から驚きの発言があった。
「今度の4月から1年間、エンドラ王国のクリストファー王太子殿下が留学に来る」
というものだった。
クリストファー王太子は兄上と同じクラスになるらしい。
1000年以上世界一の大国であり続けているエンドラ王国の王太子が留学とは初めてのことである。
表向きは勉学や文化交流が目的だが、絶対に目的はセルヴィア嬢だろうし、クリストファー王太子の本気が分かる。
兄上もショックを隠しきれない様子で驚いていた。
3学期もテストは安定のセルヴィア嬢が1位、僕が2位。
セルヴィア嬢にいいところを見せたくて必死に努力してるのに敵わない。
僕はセルヴィア嬢のそばにいられるだけで幸せなんだ。
ずっとこのままそばにいられればいいのに。




