第二章 第十二話 なんでばけたの?
何だか無性にたこ焼きが食べたいです。
そんな時、ないですか?
(本編とは何の関係もありません)
では、どうぞ。
家に帰ると、たぬまるはお母さんにたぬきの日であったことを、思い出せる限り話しました。
目をキラキラとかがやかせて。
お母さんも楽しそうに、うん、うんとききました。
明日にはみんなにきかせてあげよう。
きっとみんな驚くぞ。
たぬまるはふとんに入ってもなかなかねむれませんでした。
だからふとんから出て、お友だちと交換した紙を見ました。
名前や住所やとくちょうが書かれた紙です。
いちまい、いちまい、見て思い出したのですが、ぽこみのところで手が止まりました。
ぽこみちゃんがぼくに手紙を書くっていってたけど、ぼくのほうからさきに書いたらだめなのかな?
たぬまるは考えました。
すこしドキドキしました。
十七枚の紙を見てふとんにもぐりこみ、あれやこれやと考えているうちに、たぬまるはねむったのでした。
でもたぬまるはひとつ、大事なことをわすれています。
つぎの日は、学校はおやすみなのです。
昨日まではぽかぽかと暖かかったばんざいやまですが、がくっと気温が下がってしまったので、きゅうびとごんたは川遊びをやめにしました。
かわりに原っぱへ行ってなわとびをしました。
まえとび、うしろとび、二重とび、ハヤブサ、ゼロ戦、いろいろなとびかたで何回続けてとべるか、ふたりは自己記録に挑戦しました。
肌寒い日だったうえに、原っぱは広くさえぎるものがなかったので、風が吹きぬけてふたりの体温を冷ましました。
でもそれがちょうどいいと思えるくらい、きゅうびもごんたも汗をかきました。
なわとびって、とてもいい運動になるのです。
一時間もするとふたりは疲れてしまって、ちょっとやすもうと、原っぱに寝ころびました。
「ぼく、二重とび、三十二回、連続でできたよ」
とごんたがいいました。
「ぼくはハヤブサの最高記録は五十五回だったんだけど、記録更新はできなかったよ」
ときゅうびがいいました。
でもぜんぜんくやしそうではありませんでした。
「なわとびするには、ちょうどいい気温だったね」
「川の神さまが、川遊びばかりしてないで、なわとびでもやりなさいっていったんだよ、きっと」
「これが昨日だったら、いまの倍くらい、汗をかいたよね」
「うん」
「雲、ちょっと灰色じゃない?」
「うん。明日は雨だ。川の水かさが増すから、明日も川では遊べないね」
「あ、たぬまるだ」
「なんか、考えごとをしているみたいだ」
「なんだろう?」
ふたりは原っぱに寝そべったまま、たぬまるを見ていました。
たぬまるはまったく気づくことなく、歩いていきます。
歩いていくと、なぜかキジにばけました。そして飛びあがり、木の枝にとまると、もとの姿に戻って、木の枝に寝そべりました。
こういう場合はそっとしておいて、考えごとのじゃまをしないほうがいいのか、話しかけて相談にのるほうがいいのか。
どちらがいいのでしょうか?
きゅうびとごんたは話しかけて相談にのるほうを選びました。
「おーい。たぬまるー」
ふたりは走ってたぬまるが寝そべっている木の下にいきました。
「ああ、きゅうびにごんた。一昨日あったのに、なんだかひさしぶりな気がする」
「悩みごとかい?」
とごんたがのんびりとした声でききました。
たぬまるはだまっていたのですが、ひとつ風が吹きぬけると、それを合図にしたかのように口を開きました。
「いいや。悩んでなんかないさ」
「じゃあ、どこか調子が悪いのか?」
とこんどはきゅうびがききました。
「いいや、健康だよ」
ふたりは首をかしげました。
「じゃあ、でも、元気なようには見えないんだけど、なにかあったのかい? あ、たぬきの日、昨日だったよね? それが原因かい?」
ああ、そうだときゅうびは思いました。
ごんたはよく気がついたな、とも思いました。
「いや、たぬきの日は楽しかった。きゅうびのいったとおり、いってよかったよ」
「じゃあ、悩みごとがなくて、体の調子も悪くはないのに、そんなに元気がないように見える、その原因は、なんだい?」
ときゅうびがききました。
「自分でもよくわからないんだ。ていうかさ、おれ、そんなに元気がないようにみえるのか?」
「うん。見える。ねえ、きゅうちゃん」
「うん」
「ねえ、ぼくたちいまなわとびで遊んでたんだけど、たぬまるもやらないかい? さっきみたいにキジにばけて家までとんでいけば、すぐになわ、もってこられるでしょ」
「うん。おれもまぜてくれ。でもその前にひとつ問題があるんだ」
「なに?」
「ここから降りられないから、手をかしてほしいんだよ」
もしもぼくたちがこなかったら、どうやって降りるつもりだったんだろう?
そう考えて、きゅうびもごんたも笑いました。
「笑うな」
といってたぬまるも笑いました。
さっきよりも元気がでたみたいです。
ごんたに肩車をしてもらったきゅうびをつたって、なんとかたぬまるは木から降りることができたのでした。
なわをもってきてたくさん遊んで、家に帰ってごはんをたくさん食べて、たぬまるはぐっすりと眠りました。
すると、夢を見ました。
夢の中で、たぬまるはひとりで森を歩いていました。
木もれ日のぐあいから、お昼すぎだなあ、とたぬまるは思いました。
そして足を止めようとしました。
おれはいまどこにむかって歩いているんだろうと、疑問に思ったからです。
でも、足は止まってはくれません。
たぬまるはちょっと怖くなってきて、
「おーい、だれかー」
と人を呼びました。
でもだれも答えてはくれなくて、たぬまるはいっぱい怖くなってしまいました。
すると、声がしたのです。
女の子の声です。
女の子はこういいました。
「もうすこし、こっちにきて」
その声は優しくて、どこかで聞いたことのある声でした。
ちょっといってみようか、とたぬまるは思い、歩いていると怖さはどこかへいってしまいました。
知っている女の子がいたからです。
「コトミちゃん」
たぬまるはかけよりました。
「ひさしぶりね、たぬまるくん」
「うん。ひさしぶり。元気にしてた?」
「うん、元気よ。でも時間がないの。わたしがいいたいことだけいわせてもらうけど、いい?」
「うん」
たぬまるは目を丸くしましたが、なにか事情があるのだろうと、身がまえました。
「へびに気をつけて」
「へび? それはもう助けたよ」
「へびに気をつけて」
「……コトミちゃん?」
「へび……をつ……」
声の主だったコトミちゃんは、光になって消えてしまいました。
たぬまるがひとりになると、森もゆらゆらとかげろうのようにゆれて、色をなくしていきました。
だんだんと暗闇になってきて、たぬまるは走ってにげようと思いました。
すぐに走りだしたのですが、走りだしてまばたきをしたら、そこはたぬまるの家の前だったのです。
安心したたぬまるは、お母さんにいまあったことを話そうと家に入り、入ったところで目が覚めました。
「ああ、夢か」
そうつぶやいたたぬまるは、ふとんから出て、背伸びをしました。
ごんたときゅうびとたぬまるは縄跳びをして遊びましたが、
ハヤブサとかゼロ戦とかは、私の地域独特の名前でしょうか?
それとも全国的にそういう名前なのでしょうか?
コメント、お待ちしています。
では、また。




