筋トレまにあの妙な自信
筋肉社長の筋トレ本がヒットして以来、自己啓発みたいな筋トレ本が出るようになった。SNSを眺めていても筋トレは成功するための布石のひとつみたいに筋トレまにあがよく書いているのを見かけるようになった。そこにあるのは、妙な自信。筋トレと成功は直接繋がっていないはずだが、「出来る」と妙に自信を持っているのだ。
何故筋トレまにあはこの妙な自信を持っているのか、と考えてみた。
筋トレまにあが筋トレを神聖視するのは、筋トレが確実に成功する方法論だからである。よほど身体的に問題を抱えている人でない限り、筋トレをすれば「確実」に筋肉が付くのである。そう、筋トレは「やれば」確実に出来る成功体験なのだ。
たしかに挫折する人は多い、1年続いてスポーツジムに通う人は4%である。しかし、それは「やらなかった」場合であり、「やって」筋肉が出来なかったことはない。日本人は欧米人に比べて筋肉が付きにくい趣向にあるが、それでも筋トレをすれば筋肉がつく。
確かにボディービル選手権大会に出場するような肉体美を目指すのは一種(生来の)才能が必要で、あそこまで達するのは並大抵のことではない。しかし、ある程度までは「やれば」ほぼ確実に達成できるのである。
筋トレとて極めようとすれば、スケジュール管理や様々な知識を仕入れないといけないが、仕事や恋愛のように人間関係に悩まされないし、不確定要素に打ちのめされることも、殆どない。
頭の良さも運動神経も関係ない「やれば」筋肉が盛り上がってくる確実な方法論なのである。
筋トレで味わう成功体験は、日頃成功体験をすることがない人には得難い体験である。「やれば」成功する、こういう成功体験を味わうと人はそれに熱中してしまうのである。
ビジネスマンで成功している人はその成功体験という極上の味を仕事で体験した事があるので、普通の人が挫折してしまう事でも諦めず挑戦するのである。
人間というのは成功体験を味わうと自信がつく。これ自体は良いことである。成功体験をしたことのない人は自信がなく、そんな人に仕事を任せるのは不安だし、恋愛でも魅力を感じる人は少ないだろう。それくらいなら、虚勢でも自信を持っている人の方がましである。
そういう意味であれば筋トレで自信を付けるというのは悪い方法ではない。
人生は確実な方法など殆どない。金儲けを筆頭に、出世、勉強、恋愛、スポーツ、健康、などは確実に成功する方法などはない、ほんのちょっとの成功者と大量の敗者に分かれる。「やった」としても成功するよりはるかに失敗、挫折のほうが多いのである。
仕事や恋愛にどうすれば確実に成功するかなんてないのだが、筋トレは「やれば」ほぼ確実に成功する。もちろん筋トレを挫折した人だって大量にいるが、それは「やめた」人であり、「やって」いればほぼ成功するのである。
成功体験を確実に味わえるのが筋トレなのである。
が、考えて欲しいのは筋トレまにあは筋トレでは成功したが、仕事や恋愛で成功したわけではない。そこに構築されたのは筋トレで成功した自信であり、仕事や恋愛で成功した上で構築された自信とは違うのである。
これが筋トレまにあから感じる妙な自信の源だと考えている。自信の根拠が仕事や恋愛とかではなく、筋トレなのである。筋トレで自信がついたとしても、筋トレで培った自信で行動するのだから、そこに仕事や恋愛のノウハウなどなく、独り善がりで強引な行動をしているのだ。筋トレのノウハウで仕事や恋愛のノウハウとは別物なのに、筋トレで培ったノウハウで一発イチコロとか思って突き進も迷惑なのである。
現に、ワタシと周囲はその自信だけで突き進む強引さなおじさんに迷惑している。
やれば確実の筋トレのノウハウと自信、人間関係と不確実性の塊である仕事と恋愛のノウハウと自信は似て非なるものである。そもそも筋トレでつく自信と仕事や恋愛でつく自信を同等と勘違いしている時点で危うい。
筋トレの自信は次への挑戦のきっかけでしかない。その自信を糧に仕事や恋愛に挑戦していくのが正しい方法である。