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俺と除霊とブラックバイト2  作者: ゆずさくら


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35/103

(35)

『オーナーノセイメイヲマモリマス』

「!」

 ようやく、冴島さんにこのアンドロイドの異様さを理解してもらえたようだった。

 冴島さんの部屋に入り、事情を説明した。

「確かにこのアンドロイドは霊的なもののようね」

 冴島さんはしげしげと金髪にカチューシャ、真っ黒いコートを着たアンドロイドを眺めた。

 中島さんが言う。

「Amaz◯nって、こんな物も販売するんですね」

「GLPもAmaz◯nから購入したしね」

 それは初耳だった。

「けど…… なんで一人で屋敷に入ろうとしたのよ」

「すみません」

「本当に気をつけなさいよ。四聖人のうち二人が影山くんを狙ってきているのだとすると、こっちも対策を考えたほうがいいわね」

 中島さんがノートPCを触りながら、言った。

「あ、大男はこれですね、エリック。トーマス・エリック」

 冴島さんがそのノートPCを覗き込む。

 顎に指を当てながら言う。

「さっきの話からすれば霊力を用いて怪力を操るようね」

「このアンドロイド、そのエリックに勝ったんです」

「充電が切れていたら話にならないわね。まずは充電しましょうか」

 俺はその充電の説明をするかで戸惑った。

 説明すると変な雰囲気になってしまう。さりげなくアマ箱に入っている説明書を落として、冴島さんが勝手(・・・)()()づく(・・)ようにしないと……

「充電、ですよね……」

 ポロっと説明書を落とす。

 俺はアマ箱を探しているフリをつづける。

「これじゃないの? ほら、これ。玲香読んでみて」

 俺はまだアマ箱を探しているフリをしながら、横目で中島さんの表情を確認する。

 片手で取説を読みながら、もう一方のてで口を押える。

 次第に頬が赤くなってくる。

「えっと……」

 何もしない中島さんにしびれを切らして冴島さんが取説を奪うと、読み始める。

「何これ? 影山くん、ちょっとどいて」

 俺は黙って箱から退くと、冴島さんがガサガサと箱の中身をあさる。

「ああ、これが接続プラグ…… ケーブル…… おち〇ち〇型充電ソケット……」

 冴島さんは伏字を含めて大声でコールした後、絶句した。

「……」

 中島さんも無言だ。

「これを、あそこに。ほら、玲香やってよ」

「……」

 無言だが、激しく首を振った。

「じゃあ……」

 と言って冴島さんは『おち〇ち〇型ソケット』を向けて俺の顔を見る。

「バカっ!」

 不意に突き飛ばされて俺は床に横になってしまう。

「影山くんにやらせるわけにはいかないわね。じゃあ、あたしがやるしかいってこと?」

 そう言いながら、アンドロイドに近づいていく。

「充電よ」

『ジュウデンハ、オーナーノシジガヒツヨウデス』

 中島さんが言う。

「今、このアンドロイド何て言ったんですか?」

 頭の中に直接伝わるはずに意味が、中島さんには届かないようだった。

 冴島さんが言う。

「オーナーからの命令じゃないと充電できないって。けど、誰よ、オーナーって?」

 中島さんと冴島さんが俺の方を見る。

 確かに、俺以外いないのだが……

 下の方から、ちょっとだけ手を上げた。

「じゃ、早く指示しなさいよ」

「えっ……」

「えっ、じゃないでしょ。充電しないと何も動かないじゃない」

「充電するよ」

 アンドロイドは、部屋床にお尻をついて座り、膝を立てた足を開いた。

 冴島さんがアンドロイドの充電ソケットを、充電口に入れようとして、声を上げた。

「えっ…… これ影山くんが履かせたの?」

 おそらくアンドロイドが下着を履いていることに驚いているのだろう。

「なっ、なに言ってるんですか? 意味わかんないこと言わないでください」

「まぁ、いいわ」

 ゴソゴソ、と冴島さんがソケットを押し込む。

『アン…… モット…… モットオクマデ……』

 起き上がっていた俺と、振り返った冴島さんの目が合う。

「馬鹿っ!」

 と、真っ赤な顔の冴島さんは俺を突き飛ばす。俺はさっきと同じように床に伸びてしまう。

「な、なんなんですか、今の?」

 中島さんが言う。

「訳さないわよ」

「えっ、なんで、教えてくださいよ」

「……」

 冴島さんは無視して、さらにアンドロイドの股間にソケットを押し込んだ。

『ジュウデンカイシシマシタ』

「なんて言ったんですか?」

 中島さんが興味津々な表情でそう言う。

 真っ赤な顔をしたまま冴島さんは答えない。代わりに俺が答えた。

「充電開始したって」

「へぇ、じゃあ、その前はなんて言ったんですか?」

「……」

 バチン、と音がして部屋の灯りが消えてしまった。

「影山くん、これ、どういうことよ」

「ブレーカーが落ちたんじゃないですか?」

「落ちたんなら、さっさと拾ってよ」

「ああ…… えっと。ブレーカーって言うのは」

「なんでもいいから早くして。暗くて何も見えない」

 俺はスマフォで灯りをつけてブレーカーを戻した。

「充電できてます?」

「?」

「えっと、ブレーカーが落ちたの、おそらくこのアンドロイドの充電のせいじゃないかって」

「えっ、今のはこのアンドロイドのせいなの? これから、灯りもつけられなくなるの? やっぱりこれ、影山くんの部屋に持っていってよ」

 いや、これを蘆屋さんと一緒の部屋で管理すると……

 想像するだけで憂鬱になる。

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