90.名前
「《獄炎》――いや、いない……な」
俺は魔法を発動しかけるが、すぐに解除をする。
扉の先には、小さな部屋があった。
といっても、生活感はなく机と椅子がある程度だが。
「この部屋が一番魔力の反応が大きいです……ですが何もないだなんて……」
エイラが周囲を見渡しながら、口に手を当てている。
「何もないのがそんなにおかしいことなのか?」
「はい……普通は魔力を発する何かがあるはずなんです。人物だったり、物だったり」
そう言いながら、エイラは唸りながら答える。
「だけど、ここには何もありません。つまり……その人物がいた跡だけであれほど大きな魔力を発していたわけです」
「人間じゃないんだよな?」
「ええ。間違いなく魔人族です。断言してもいいです」
「なるほどね」
俺が頷く寄りも先にアンナが首肯し、近くにあった机に手を置いた。
そこには、何かの書物が置かれている。
アンナは手に取り、パラパラとめくってみせた。
「恐らく、これを見ればここに誰がいたか分かるわ。だってこれ、日記帳だもの」
日記帳……か。
確かにそれが確かなものなら、誰が書いたのかハッキリするかもしれない。
「……サインがあるわ。『アグ』って書いてる」
「なら、間違いないな」
「そうですね。もう確定で大丈夫でしょう」
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