91.気味が悪い
「しかし日記帳か。そういうこともするんだな」
俺はアンナが手に持っている日記帳を見ながら、そんなことを呟く。
正直、あまり信じられないでいた。
俺たちにとって魔人族は王国を滅ぼそうとしている悪であり、敵である。
だけれど、日記を書くだなんて人間らしいことをされたら違和感しか覚えない。
ともあれ魔人族と言うが、魔族は人間と近いものがあると聞いたことがある。
実際に魔族を見たのが魔人族だけだから想像はできないが、人間と同じようなこともするのだろう。
「内容は……気味が悪いわね」
そう言って、アンナが読み上げていく。
「キメラの作成方法や……魔物を操る方法……それについての考えみたいなのが日記形式で書かれているっぽい」
「日記とはいえ、書いていることは色々と逸脱していますね……」
「敵だからな。それくらい邪悪なことを書いていて貰わないと逆に気味が悪いだろ」
俺は嘆息しながら、壁に背中を預ける。
キメラの作成方法といえば、俺たちは一度キメラと相対したことがある。
魔物が人工的に合成され、生み出されたもの。
文字にしてみると、あまり良い物ではない。
通常なら考えもしないものだ。
まあ、アグにとってはどうだっていいのだろうが。
「……ねえ。なにこれ」
「どうした? 何か変なことでも書いてあったのか?」
「大丈夫ですか?」
アンナが口を押さえて、日記帳を手落とした。
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