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63話

 流石、でかいギルドだけに演習場は広く、破壊力のある魔法も使えそうな広さで演習場と言うよりはちょっとした闘技場みたいな印象を受ける。


「よぉ嬢ちゃん、お目覚めはいかがかな?」 と暑苦しい笑顔でゲインが迎えてくれた。

 ある意味でお腹がいっぱいになりそうな顔にげんなりしつつ、セシールさんからの説明を受ける。



「この的をここにある用意した武器、スキル魔法、どれを使用しても構いわ。 一定の攻撃を当てて破壊すれば合格」


「世の中には2種類の人間がいる。 撃つ奴と撃たれる奴だ」



 タバコを吸いながら、アタシは用意された武器は持たずに、人型に作られた的に近づき手を触れ、感触を確かる。

 人体に近い弾力に感心しながら触れ、ヒヤリとした死人のような感触に気味の悪さを感じるが、今は的を倒すことに集中する。

 タバコを小瓶に入れ、右手にナックルダスターを装着する。



「よっと」 右手からの顎に一撃に続き、すかさず、左フックで脇腹、右蹴りで左首に当てるが崩れる様子は無く、「もう終わりか嬢ちゃん」 と小バカにした様にゲインが笑う。



(見てろよぉ 本番はこっからだ)



 的から少し離れ、アタシはバックから6発の弾丸を装填し、肩幅に足を開き、撃鉄を下ろして銃を構える。

 胸部に狙いを定め、トリガーを引こうとした瞬間、脳裏に血飛沫とあの時の獣人の顔が思い出される。



(引き金に力が入らない!?)


 一度、思い出されたことは決壊した川の様にアタシの頭を駆け巡り、呼吸が荒くなる。

 銃身がブレて、狙いが上手く定まらず、アタシは銃を下す。

「何だ嬢ちゃん、もう終わりか?」 とゲインからの挑発に苛立つもどうしようもなかった。



「貴女、大丈夫?」


「だ、大丈夫だ。 あ、アタシは問題ない」



 困惑するセシールさんを余所に、アタシはヤケクソに魔法を解除し、右手で自分の右頬に一撃を食らわせる。

 一瞬、目の前が暗くなり、ふらつくが何とか足腰に力を入れ、前を見ると的が立っているだけで、あの時の獣人ではない事を確認する。

 タバコに火をつけ、深く吸い込み、吐き出す。

 口腔の不快感を地面に唾と共に吐くと粘液質な血か見てとれた。


 ゆっくりと呼吸し、魔法を発動し、弾丸を装填。

 撃鉄を引き、的に向けて集中すると今度は懸隔を見る事は無く、アタシは引き金を引く。

 発射された弾丸は胸部に命中すると、ぐらりと揺れる。



(効果は十分!)



 銃を腰に構え、撃鉄を叩いて続けて3発を撃ち込む。

 1発は外れたが2発は命中し、穴が増えた的は見事に崩れ落ち、小さくガッツポーズする。



「ほぉやるねぇ」


「じ、実力は見せて頂きました。 約束通り、ギルドへの加入を認めます」


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