記憶の回路編/始まり
前編
少年は目を覚ます。誰かに呼ばれたわけでもなく、何か使命を背負ったわけでもなく。ただ、静かに目を覚ました。
そしてゆっくりと体を起こす。得体の知れない光景が広がる。
黒く。どんよりとしている場所。
「ここは、どこだ、、?」少年は言う。
何があっただろうか、思い出せない。どうしようか。
落ち着いて覚えていることは何だろう。
自分の名前。えりど。そう、“エリド“。それが名前だ。
それ以外は、、重要なこと。何かあった気がする。。。だめだ、覚えていない
その時、奥の方で何かが蠢いた!
「何だろう、今の、、?」エリドは思わず困惑を口から吐き出す。
「とりあえず行ってみよう、、、」エリドは恐る恐る空間の奥へと足を進める。
「よう!」誰かが言った。”何か“がいる。
「俺は”パニック“!!」
愛らしいミニキャラのようなフォルム。忍者のような髪型や服装。そんなパニックが言った。
「ここであったが3秒目!俺と勝負だ!!」そう言うとパニックは戦闘体制に入る。そしてポケットを探る。
パニックの両手には手裏剣のようなものが持たれている。bigサイズの。
「え、!?」エリドは焦る。当然だ。こんな突拍子もないことに理解が追いつくわけもない。
だが、パニックは待ってはくれない。両手から手裏剣を空気へと離す。
その手裏剣はパニックの意志を持ったかのようにエリドに迫っていく。
風と共に手裏剣は舞う。そしてエリドに当たる、、、
直前!エリドは思い出す。自身の“記憶”(ちから)。
迫る二つの手裏剣を両手で殴る。轟音と共に手裏剣はその足を止める。
「!」パニックは目の前の相手に興味を示す。
「はあ、はあ」エリドは目の前の光景に大きな困惑を覚える。
何が起きたのか。自分は何をしたのか。分からない。分からないが。
この拳に助けられた。“拳の記憶”に助けられた。
根拠はなくとも、本能的にエリドはそれを理解した。
“記憶”。それこそが力。しかし、まだ整理はついていない様子だ。
そんなエリドとは裏腹に、拳は勝利だけを求めていた、、、
後編
「お前、面白いな⭐︎」パニックが言う。どうやらエリドのちからに興味が出たようだ。
「しかし、勝負に勝つのは、、俺だっ!!」パニックはその掛け声と共に再び手裏剣を投げる。
エリドは、その攻撃をぎりぎりで回避する。しかし、全ては回避しきれない。
エリドが逃してもエリドの拳は標的を逃さない。全て、、殴り倒す!!
「同じ手は2度、喰わないか、、面白い!」パニックは余裕そうに言い放つ。
「え!?」エリドは目の前の光景に驚愕する。それもそのはず。
パニックは超絶bigな手裏剣を出してきた。そして、思い切り投げる!!
「え、うわ!!」エリドは途端に逃げ出す。しかし、このままでは当たる。
(どうにかしないと、どうにか。力を上手く使って、、、どうにかっ!!)
エリドは自身の力を使い、状況の打破を試みる。
グウうん、バシュッ!!激しい音と共にエリドのオーラが雷のように爆ぜていく。エリドはその勢いに上空まで飛ばされていく。
「っ!があっ!!」エリドは空気圧に押される。
そして、オーラは降り注ぐ。パニックはそれを難なく回避する。
「ふっ、的外れだな。」パニックはエリドの力の雑さを非難する。
(どうしよう、どうしよう。手裏剣は当たってないけど、、落ちたら、、死ぬ!!)エリドは真下の景色に焦りを生む。
「はあああああ!!」エリドは手の甲を合わせて力を蓄える。そして放つ!!
ビュウううううん!!豪快な音と共にパニックに力がぶつかる。
「う、うわあああ!!」エリドは落下する。
が、落ちる瞬間。手裏剣の先がエリドの服に掛かる。ぼん!
「いてて!」エリドは尻餅をつく。だが手裏剣のおかげで被害は最小限に済んだ。敵に助けられるとは、なんとも甲乙つけ難いことだ、、、
「はあ、なんとかな、、」
『マエル』
エリドが安堵を口にしようとした瞬間。ある記憶を思い出した。
だれかの名前だろうか。あやふやだ。しかしエリドにとってはそれで十分だった。空気が変わる。
エリドは理解する。自分を呼んでいる人がいる。自分には大きな使命がある。
ぼんやりとそして確実にエリドは理解する。
「記憶、約束、俺が必ず」
覚悟を胸の内に決めた少年は次の舞台へと足を踏み入れていく、、、




